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離婚時には保険の変更手続きや見直しが必要?チェックしておきたい保険関連のアレコレ

離婚時には保険の変更手続きや見直しが必要?チェックしておきたい保険関連のアレコレ

公開日:2023年7月21日

離婚時には、保険の契約者や保険金受取人の変更手続きが必要です。加えて、家族構成や収入の状況などが変わるため、補償/保障内容の見直しが必要な場合もあります。
ただし、離婚によって各種保険の契約情報の変更や補償/保障の見直しを行う際には、気をつけなければならないことがいくつかあります。
本記事では、離婚時に必要になる保険の変更手続きや保険内容の見直しの際の注意点についてわかりやすく解説します。

離婚した場合、どのような対応が必要?

離婚した際には、現在加入している保険の契約者や保険金受取人、指定代理請求人などの変更が必要になるケースがあります。保険をそのままにしておくと、万が一の際に給付金や保険金を受け取ることができないなどのトラブルに発展する可能性があります。

どのようなケースで契約者・保険金受取人・指定代理請求人の変更が必要になるのでしょうか?具体例を交えながら、解説していきます。

契約者・保険金受取人・指定代理請求人の変更が必要な例

保険における契約者とは、保険会社と保険契約を締結している方のことです。契約者は、保険料を支払う人や各種変更があった場合に、保険会社に通知する義務があります。

契約者と被保険者は同一である必要がないため、「元配偶者が契約者で自分が被保険者」といったケースもあります。この場合、離婚時には契約者を必要に応じて自身に変更します。

一方で、保険の対象である被保険者はいかなる場合でも変更できません。

また、契約者および被保険者が自身の名義になっている保険でも、保険金受取人や指定代理請求人が元配偶者だった場合には、これらを必要に応じて両親や子どもに変更します。

■変更が必要な例 その1

契約者 自分 変更なし
被保険者 自分 変更なし
保険金受取人 離婚前の配偶者 両親や子どもに変更

■変更が必要な例 その2

契約者 離婚前の配偶者 自分に変更
被保険者 自分 変更なし
保険金受取人 離婚前の配偶者 両親や子どもに変更

その他の変更箇所と手続きの方法

離婚時に住所・苗字の変更や保険料の支払い方法などの変更があった場合には、保険会社に連絡のうえ変更の手続きを行いましょう。

各種情報を変更する際には、これらの情報が更新された身分証明書などが必要です。保険会社が指定する必要書類(戸籍抄謄本、運転免許証・マイナンバーカードの写しなど)を用意しましょう。

保険料の支払い方法を変更する際には、新たなクレジットカードや引き落とし口座を指定します。また、もとより自身が保険料を支払っており支払い方法に変更がない場合でも、クレジットカードや銀行口座の名義の苗字が変わるために変更手続きが必要になることもあります。

離婚後に保険契約の各種変更手続きを行わなかった場合、万が一の際に保険金の請求が円滑に進まない可能性があるため注意しましょう。

たとえば住所が変更されていなかった場合、手続きに必要な書類や保険金支払いの完了報告などが旧住所に郵送される可能性があります。

保険金の受取人や指定代理請求人が変更されていなかった場合には、両親や子どもが手続きを行えなくなってしまいます。保険料の支払い方法も以前のままにしていると、元配偶者とのトラブルに発展してしまいかねません。

これらのトラブルを避けるためにも、離婚後の保険会社への連絡は迅速に行うことをおすすめします。

小山FP 小山FP

小山FPからのアドバイス!

離婚後に保険契約の変更手続きをする場合、元配偶者との連絡がスムーズに取れないなどの理由から、手続きに必要以上に時間がかかる可能性があります。場合によっては手続きを進められないようなトラブルが生じる可能性だってあります。そのため、離婚届を出すタイミングと同時に、保険契約の情報も変更できるように準備することが必要です。

また、契約者および受取人を変更する場合は、被保険者の同意が必要になることにも注意が必要です。

保険の見直しも重要!補償/保障内容は新しい環境に合わせて変更を

離婚時には、保険の契約情報の変更とあわせて補償/保障内容の見直しも検討しましょう。生命保険は、家族構成や収入、状況に合わせて見直す必要があります。

特に、お子さんを引き取ってシングルマザー・シングルファザーになる方は、保険をしっかりと見直す必要性が高くなります。

シングルマザー・シングルファザーになった場合

子どもを引き取りシングルマザー・シングルファザーになった場合には、自身が働けなくなった場合でも子どもの生活費と学費をカバーできるような補償/保障内容になるよう保険を見直しましょう。

病気やケガへの備え

社会保険に加入している会社員の方などが病気やケガで休業した場合、支給要件を満たせば支給を開始した日から通算して1年6ヵ月間、給与の約3分の2を受け取ることができる傷病手当金を受給できます。しかし、給与と同等の額を受け取ることができるわけではないため、病気やケガの際に生活費や子どもの学費を補填できるよう保険を見直す必要があります。

個人事業主など自営業者などが加入する国民健康保険の場合は、傷病手当金もないためより手厚い保障を検討しましょう

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がんへの備え

万が一がんになった場合を考え、がん保険に加入されていない方は加入を検討しましょう。がんは治療が長期化したり再発を繰り返したりする可能性もあり、治療にかかる費用の負担が重くなる、治療のために仕事を休み収入が減少してしまうといったリスクも高くなります。

医療保険とがん保険に別々に加入することもできますし、医療保険の特約としてがんに関する保障をプラスできる場合もあります。保障内容や保険料などを加味しながら、複数の保険商品を検討してみるとよいでしょう。

がんの保障にはいくつかの種類があります。詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。

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教育費への備え

すでに子どもの学資保険に加入されている場合で、契約者が配偶者になっているケースでは契約者などの変更を検討しましょう。夫婦間で合意があれば契約者は離婚前のままでも問題ありませんが、保険金の請求や受け取りが円滑に進まなかったり、いつのまにか解約されていたりといったトラブルが生じる可能性があります。

まだ加入されていない場合は、離婚後に加入を検討しましょう。学資保険は子どもの学費に備えられるだけでなく、契約者である親が死亡した場合に、祝い金や満期金とは別に満期日まで子どもが受け取ることができる育英年金を用意できるものもあります。

自身が死亡した際のことを考え、子どもの学費をまかなえる保障額を用意することも大切です。子どもの学費は進学先によっても変わるため、下図を参考に自身の子どもの現在の年齢と希望している進路を踏まえて死亡保障の額を検討しましょう。

保護者が支出した教育費
下の表は、横にスライドしてご覧ください

(単位 : 円)

出典:文部科学省「令和3年度 子どもの学習費調査」(https://www.mext.go.jp/content/20221220-mxt_chousa01-100012573_3a.pdf)をもとに当社作成

  • 調査対象 公立並びに私立の幼稚園、小学校、中学校及び高等学校(全日制)の幼児・児童・生徒
  • 調査する費用の対象期間は、令和3年4月1日~令和4年3月31日
  • 子供一人当たりの年間支出金額
    学校教育費 学校給食費 学校外活動費 合計
幼稚園 公立 61,156 13,415 90,555 165,126
私立 134,835 29,917 144,157 308,909
小学校 公立 65,974 39,010 247,582 352,566
私立 961,013 45,139 660,797 1,666,949
中学校 公立 132,349 37,670 368,780 538,799
私立 1,061,350 7,227 367,776 1,436,353
高校
(全日制)
公立 309,261 - 203,710 512,971
私立 750,362 - 304,082 1,054,444

大学納付金のめやす

下の表は、横にスライドしてご覧ください

(単位 : 円)

出典:文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」(https://www.mext.go.jp/content/20211224-mxt_sigakujo-000019681_4.pdf)「令和3年度 私立大学等入学者に係る初年度学生納付金 平均額(定員1人当たり)の調査結果について」(https://www.mext.go.jp/content/20211224-mxt_sigakujo-000019681_1.pdf)をもとに当社作成

  • 私立大学の納付金は、入学料、授業料、施設設備費より算出。
    国公立大学の納付金は、入学料、授業料より算出。
  ① 初年度納付金 ② 2年目以降納付金 合計(① + ② × 3または5)
国立大
(4年間)
817,800 535,800 2,425,200
公立大
(4年間)
927,668 536,363 2,536,757
私立大文系
(4年間)
1,188,992 963,341 4,079,015
私立大理系
(4年間)
1,566,262 1,315,233 5,511,961
私立大医歯系
(6年間)
4,890,539 3,814,261 23,961,844

小山FP 小山FP

小山FPからのアドバイス!

離婚の場合に限りませんが、家族構成や家計、住まいなどを含めた生活スタイルなどに変化があった場合、必要な補償/保障額も変わってくるため、保険の見直しが多くの場合で必要となります。

特に、離婚後に子どもを引き取り扶養家族が増えるような場合、子どもの生活費や教育費をカバーできるよう、万が一の場合の死亡保障をより手厚いものにするといった検討が必要です。

また、子どもの養育に必要なお金の確保も重要です。たとえば、離婚した元配偶者が養育費を一部負担するような場合、元配偶者が亡くなると養育費がもらえません。このような場合に備えるため、元配偶者が被保険者となっている保険の受取人を子どもに変更して、養育費の代わりに保険金を受け取るといったことも考えられます。

生命保険の契約を変更・解約する場合の注意点は?

離婚の際に生命保険の契約内容を変更または解約する場合に注意したいポイントを解説します。

保険が財産分与の対象になるケースでは

財産分与とは、夫婦が婚姻中に築いた財産を離婚時に分配する制度です。財産分与の際には、解約返戻金や満期返戻金があるタイプの保険も財産とみなされ、解約返戻金や満期返戻金を折半することがあります。

たとえば、配偶者が契約者となっている保険を離婚のタイミングで解約して100万円の解約返戻金を受け取った場合、自身が50万円を受け取り、相手方に50万円を支払う形で精算するなどの方法で分配します。

ただし、自身や配偶者ではなく両親などが保険料を支払っている、あるいは支払っていた場合や、独身時代に保険料の払込みが完了している保険は財産分与の対象外になる可能性があります。

財産分与の対象になる可能性がある、解約返戻金や満期返戻金が発生する積立型・貯蓄型の保険には、以下のようなものがあります。

これらの保険を財産分与する場合、すべての保険を実際に解約して精算する必要はありません。

生命保険は年齢や身体の状況によって保険料や保険加入の可否が変わるため、一度解約してしまうと同じ保障内容かつ保険料の保険には加入できない可能性が高くなります。

そのため、財産分与では「離婚・別居時に解約した場合の返戻金額」をもとにして現金で精算し、契約自体は継続するケースもあります。解約返戻金の額については、加入している保険会社に直接問い合わせ詳細を確認しましょう。

学資保険に加入されている方で、契約者を変更して契約を続行する場合にも前述したような精算が必要になることがあります。

これら保険を財産分与する際には、現金で精算するとして相手方に支払えるのかを一度計算する必要があります。現金での支払いが難しい場合には解約を検討しなければならないこともあるでしょう。

年末調整の生命保険料控除が受けられないことがある

年末調整や確定申告で受けられる生命保険料控除が、契約者の変更によって受けられなくなるケースもあります。

生命保険料控除は、生命保険の契約者が払い込んだ保険料の一部が所得から控除される制度です。これを受けるためには、保険金・給付金の受取人が契約者本人、配偶者、その他親族のいずれかである必要があります。

生命保険金の受取人が配偶者の場合、離婚すると配偶者と親族のどちらにも当てはまらなくなります。そのため、離婚後から生命保険金の受取人を自身や子どもに変更するまでの間に支払った保険料は生命保険料控除の対象外になります。

<離婚後も生命保険金の受取人を配偶者にしていた場合>

・6月に離婚し、翌年1月に生命保険金の受取人を自身に変更した
→6月まで払い込んだ保険料が生命保険料控除の対象になる

・6月に離婚し、10月に生命保険金の受取人を子どもに変更した
→6月までに払い込んだ保険料と、10~12月に払い込んだ保険料が生命保険料控除の対象になる

配偶者が受取人になっている生命保険がある場合は、離婚までに変更しておくとよいでしょう。

小山FP 小山FP

小山FPからのアドバイス!

財産分与の対象となる保険がある場合、解約返戻金を受け取って現金で精算しようと安易に解約する前に、保険契約の継続の必要性をまずはしっかり検討することが大切です。記事にもあるように、特に身体の状況によっては、保険に新たに加入しようと思ってもできない可能性があるからです。

ちなみに、結婚前の独身時代に加入した保険でも、結婚後は夫婦共通の財産から保険料を支払ったとみなされ、財産分与の対象となる場合があります。この場合、離婚時の解約返戻金相当額と結婚時の解約返戻金相当額の差額を財産分与の対象とする可能性もあります。

自動車保険の等級が引き継げない場合がある

現在加入している自動車保険の契約者・記名被保険者・車両所有者も確認しましょう。これらの名義は離婚後の変更だと不都合が生じる場合があるため、離婚前に見直しをするようにしましょう。

もし名義の変更を忘れて離婚した場合、等級は記名被保険者の配偶者または同居の親族でなければ引き継げないため、新たな自動車保険に加入する必要があります。その場合、新規の自動車保険は6等級または7等級からスタートします。

等級とは、ノンフリート契約(契約者が所有・使用する自動車の台数が9台以下の契約)における保険料の割引・割増制度のことです。自動車保険の等級は新規契約で6または7からはじまり、契約期間中に無事故だった場合には等級の数字が上がり、保険料の割引率も大きくなります。

等級は最大で20等級(一部の共済では22等級)まであり、6または7等級と20等級では、割引率の差から保険料も大きく異なります。配偶者名義の自動車保険があるのなら、離婚前に名義を変更して等級を引き継げるよう準備しておきましょう。

ただし、もとより自身の名義だった契約で、離婚後に苗字が変わったというケースでは問題なく等級を引き継げます。

運転者を家族・配偶者に限定している場合

運転者を家族や配偶者に限定して保険料の割引を受けている場合、離婚後は運転者を自身のみに限定する、限定を解除するなど見直しを行いましょう。

運転者を自身に限定した場合は保険料がさらに割引される可能性があります。運転者の限定を解除した場合は、割引が受けられないため保険料が高くなる可能性があります。

運転者年齢条件を設定している場合

運転者年齢条件を設定している場合は、離婚後に運転する人の年齢を考え変更する必要があります。

主に自身が運転するのなら、自身の年齢に合わせて年齢条件を変更します。年齢条件の変更によって、保険料が増減する点に注意しましょう。

小山FP 小山FP

小山FPからのアドバイス!

自動車保険の契約者・記名被保険者・車両所有者の3つの名義のなかでも、記名被保険者については等級の引き継ぎが関係してくるので離婚前の手続きが特に重要です。

また、事故などを起こしたときの保険金の請求には、原則として契約者の同意が必要となります。いざという時に契約者が元配偶者のままで連絡が取れないといったトラブルを避けるためにも、離婚前に契約者も見直しましょう。

車両所有者については、車をどちらが所有するかによって、車両所有者の名義も変更するようにしましょう。

各種保険の変更や見直しは離婚前に行おう

これらの注意点を踏まえて、各種生命保険や損害保険の変更手続きおよび補償/保障内容の見直しは離婚前に行うことをおすすめします。

生命保険の契約情報の変更や見直しは離婚後に行うこともできますが、元配偶者と連絡が取れずに手続きができなくなってしまう可能性もあります。連絡がとれる状態でも、書類のやりとりに時間がかかり、手続きが遅れてしまうこともあります。これにより、万が一の際の給付金を自分で受け取ることができない場合もあるでしょう。

また、年末調整・確定申告における生命保険料控除にも空白の期間ができてしまう可能性があります。自動車保険においては、離婚後に等級を引き継げないため必ず離婚前に各種変更を済ませておきましょう。

保険によっては、離婚後には変更の手続きができずに新規に契約しなければならないこともあります。離婚協議を始めたらそれぞれの保険をチェックし、必要な手続きを完了させておくと安心です。

離婚前に加入している保険をすべてチェックしてみよう

離婚時にはさまざまな話し合いや手続きが発生するため、保険の存在を忘れてしまうことがあるかもしれません。しかし、保険の契約情報の変更や見直しを忘れてしまうと、離婚後の生活に支障をきたす可能性があります。

離婚協議中に加入しているすべての保険をチェックして、離婚前にできる手続きはすべて終わらせておくことをおすすめします。その際は、離婚後の生活を加味して保険の見直しも行いましょう。

監修者プロフィール

小山 英斗(こやま ひでと)

監修者

小山 英斗(こやまひでと)

未来が見えるね研究所 代表 https://miraiken.amebaownd.com/

CFP®(日本FP協会認定会員)、1級FP技能士(資産設計提案業務)

住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター(一般社団法人 住宅建築コーディネーター協会認定会員)

日本学生支援機構認定スカラシップ・アドバイザー(平成29年10月認定)

神奈川県の横浜を主な活動拠点としてFP事業を中心に、ライフプランニング、金融資産運用、不動産・住宅ローン相談、住宅建築相談、保険相談を強みとしたサービスを提供しています。銀行や保険等の金融機関やハウスメーカー等に属さない独立した立場からのお手伝いをしています。座右の銘は「虚静恬淡」。好きなものは旅行、建築、カフェ、散歩。

  • CFP®、CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®、およびサーティファイド ファイナンシャル プランナー®は、米国外においてはFinancial Planning Standards Board Ltd.(FPSB)の登録商標で、FPSBとのライセンス契約の下に、日本国内においてはNPO法人日本FP協会が商標の使用を認めています。

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