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公開日:2024年5月16日
物価の上昇傾向が続き、「家計が苦しい」と感じる方もいるのではないでしょうか?政府は物価上昇に負けないように給与アップを目指していますが、「物価高に追いついていない」と感じている方もいるかもしれません。
これから、日本における物価上昇が続く場面では、家計において「支出を減らす」と同時に「収入を増やす」「資産を増やす」という視点も重要になるでしょう。
そこで、この記事では、ご家庭でできる家計の負担を軽くするための方法や、今後の物価上昇をふまえた資産運用のヒント、収入を増やすための取り組みについてご紹介します。
2023年は、食品の記録的な値上げラッシュとなりました。帝国データバンクの調査によると、2023年に値上げした食品は3万2,396品目。2022 年に比べて25.7%もアップしました。
具体的には、2023年の2月に冷凍食品、つゆ・だし製品、お菓子など計5,639品目が値上げ。その後10月まで、1ヵ月当たり 2,000〜3,000品目前後の値上げが続きました。同社によると、全ての食品分野で2年連続一斉に値上げがおこなわれた例は、近年なかったとのこと。また年間3万品目を超える値上げは、過去30年を振り返ってもみられない規模だそうです。
消費者庁の『生活関連物資の価格動向※』によると、とくに価格の上昇率が目立つのが卵と食用油。食品のほかには、洗濯用洗剤も大きく上昇しています。
なお、帝国データバンクによれば、2024年における食品の値上げは、2023年に比べてペースが落ちると予測。しかし、それでも1万~1万5,000品目が値上げすると予想しています。
2020年を基準とした『消費者物価指数』によると、2023年11月まで12ヵ月にわたり、2~3%前後の物価上昇率が続いていることがわかります。このことから物価の上昇は長期化しているといえるでしょう。「家計が苦しい」と感じている方もいるかもしれません。
消費者物価指数とは、私たち消費者が購入するモノやサービスの平均的な値動きを示した指標で、物価の現状を知るのに重要な物差しといえるでしょう。総務省が毎月発表しています。
たとえば昨年の1月にスーパーで買いものをしたとき、合計1万円を支払っていたとしましょう。今年の1月に同じモノを買って、合計1万200円を支払ったとします。昨年の消費者物価指数を基準に100.0とした場合、今年の消費者物価指数は102.0となり、2%物価上昇したことを示します。
消費者物価指数における過去10年間の推移を見てみると、長年上がらなかった物価上昇率が、2022年から上がっていることがわかります。
2023年の4月には、生鮮食品とエネルギーを除く総合が前年同月から4.1%上昇し41年7ヵ月ぶりの水準となりました。2023年は、過去30年と比較すると物価が高かった年になったといえるでしょう。食品や日用品はもちろん、家電、燃料、外食、運賃にいたるまで、あらゆる商品やサービスが値上がりし、家計を直撃している状況です。
日本では物価が上がっているのに賃金がなかなか上がらないと指摘されます。例えば、アメリカの場合、2022年6月をピークにCPI(消費者物価指数)が前年同月比9.1%をつけ、物価は日本と比べ非常に高い水準になりましたが、賃金は上昇していきました。
なぜ、このような違いが生まれているかというと、日本の場合、長引くデフレにより企業が価格転嫁しにくいという経済風土があるからです。
通常、物価が上昇すると、企業は値上げすることで売上を伸ばそうとします。その結果、賃金も上がっていきますが、日本ではデフレマインドが定着しているため、価格転嫁による売上増加が難しく、賃金を上げにくいという問題があります。
日本では1990年代の終わりから長い間、物価は上昇していませんでした。ではなぜ、ここ数年は物価が上昇しているのでしょうか?その背景には、コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻があります。ここでは物価上昇の原因と、「いつまで続くのか?」という今後の見通しを解説します。
新型コロナウイルスの感染拡大によりモノやサービスの提供が滞ったことや、 ロシアによるウクライナ侵略により日本が輸入するモノの国際的な相場が大きく上昇したことなどにより、物価が上昇してきました。
また、新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着き、停滞していた経済活動が再開したことで、世界的にエネルギーの需要が高まりました。燃料や資源価格の高騰も、原因のひとつといえるでしょう。
円安の背景には、日米の金融政策の違いがあります。アメリカは物価の上昇(インフレ)をおさえようと、何度も利上げを実施。一方、日本は「賃金の上昇率が物価の上昇率を上回らなければ、デフレからの脱却は難しい」と、金利を低くおさえています※。そのため外国為替市場では、低金利の円を売って高金利のドルを買う動きが広がり、円安が進んだのです。
円安による輸入コストの増加により、物価上昇も加速しました。円安になると、日本がモノを輸入する際、より多くのお金が必要になります。日本は燃料や原材料の多くを輸入に頼っているため、円安になると輸入コストが増加し、その分が価格に上乗せされてしまいます。
※その後、2024年3月19日の日本銀行による金融政策決定会合においてマイナス金利を解除し、利上げすることを決定しました。
現状では、物価の上昇はピークをつけ下落傾向にあると考えられています。日本の消費者物価指数は2023年7月の前年同月比3.3%上昇をピークに、足元では2023年12月の前年同月比2.6%の上昇となり、物価上昇の勢いは弱まってきています。
これは一重に、日本を除く主要先進国が金融引き締め政策を実施してきた結果といえます。
日本では、物価の上昇率を毎年2.0%で安定的に推移させデフレから脱却しようとしています。この物価水準はデフレ時代と比べると高いと感じるかもしれません。しかし、今後、賃上げの伴う景気回復が実現するならば、良い物価上昇が続く可能性があると考えるのが妥当といえるでしょう。
「物価が上昇しているのに、収入はなかなか増えない……」「物価上昇に備えるための方法が知りたい」と思っているご家庭も多いのではないでしょうか。今後、日本はデフレからインフレに向かっていく可能性が高いと考えると、「支出を減らす」ということは大前提として、実は同時に「増やすこと」も重要なポイントになります。
ここでは物価上昇に備えるために、収入を増やすこと、資産を増やすことをふまえながら、ご家庭でできる支出を減らす対策や考え方をご紹介します。
今後、日本がデフレから脱却していく可能性が高い場合、「収入を増やすこと」と「資産を増やすこと」を2本柱としながら、同時に「支出を減らす」、「負債を減らす」ということを実行していくことが求められます。
低金利が続く日本では、銀行にお金を預けるだけでは、なかなか増えません。ある程度資金に余裕がある方は、一部を投資に回してみてはいかがでしょうか?
国が推進するNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金制度)を活用するのもおすすめです。NISA(少額投資非課税制度)では運用益に税金がかかりません。iDeCo(個人型確定拠出年金)は掛金が全額所得控除となるうえ、運用益も非課税。受け取るときも控除が受けられます。これらを活用することで、税制優遇を受けながら効率的な運用が可能です。
一般的に、株式投資や投資信託、金や不動産への投資はインフレに強いといわれています。 NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金制度)の活用も含め、何らかの資産運用を検討してもよいでしょう。
また、収入を増やすのも、立派な対策です。「配偶者の方がパートタイムの仕事を始める」「パートタイムの仕事の時間を増やす」「副業をする」などにより、家庭の収入アップを目指すことも検討できるでしょう。ただし無理は禁物。ご家族の時間と体力を考えて、できる範囲でおこなうことが大切です。
なお、厚生労働省は2024年度の雇用保険制度改正に向けて検討をすすめており、おもに労働者のリスキリング(学び直し)と子育て支援の充実を目指しています。教育訓練給付の助成率拡大なども充実されていくこととなり、多様な働き方の支援が進められ多くの家庭で働きやすい環境が整うことが期待されています。
「支出を減らす」、「負債を減らす」ためには、現在の生活費をまずは把握する必要があるでしょう。
生活費には、大きく分けて「固定費」と「変動費」があります。「固定費」は毎月、毎年、定期的に支出する必要のあるお金です。一方「変動費」は、毎月変わる支出のこと。
費目について分類する際は、以下を参考にしてください。
物価上昇期は、「物価の上昇により、支出金額が増える費目」について工夫する必要があります。また、「大きな支出となる可能性の高い固定費」の見直しも重要です。固定費は毎月支払いが発生し、金額も大きいため、固定費を削減できれば家計改善の効果は高いでしょう。
また、固定費は自動引落しているケースも多く、支払い金額に無頓着になりやすい側面もあります。一度項目ごとに金額を洗い出し、カットできないか検証してみましょう。まずはおもな固定費の費目について、詳しく解説します。
固定費を削減するためのポイントを考える際に、どのような費目が固定費に該当するのかを確認しましょう。
住宅ローンなどの住居費は固定費のなかでも重視される
住宅関連費とは、住宅ローンの返済金や火災・家財・地震保険料、地代・家賃、マンションなどの管理費や修繕積立金、固定資産税・都市計画税、自治会費などのことを指します。
とくに固定費を抑えるために一般的に重視されるのが「住宅関連費」のうち住居費でしょう。
昨今は賃貸住宅の賃料も上がりつつあります。実際に東京都区部の家賃は2023年11月、約9年ぶりの高い水準になったといわれています。最近になって住んでいる賃貸物件の「賃料が上がってしまった」という方もいるかもしれません。
住んでいる住宅で直接賃料が上がってはいないとしても、現時点で家賃の支払いがとくに負担になってきていると感じる方は、現在よりも家賃が安い物件へ引っ越して、固定費の大きな部分を占める賃料について長期的におさえていくことも検討のポイントとして必要でしょう。
ただし、その際には引っ越し費用や初期費用など一時的な出費がともなう点には留意しましょう。長期的に住む可能性がどの程度あるか、ということを踏まえながら、引っ越しが妥当かどうかを判断する必要があります。
引っ越しすることが難しいという方は、契約更新時に家賃を下げられないか、または上がらないようにできないか、まずは交渉してみてもよいかもしれません。
一般的に、持ち家があり、まだ住宅ローンが残っているという方が固定費をおさえることを考える場合には「繰り上げ返済」を考えるケースがあるでしょう。繰り上げ返済をすることで、毎月の返済額やトータルの返済額を少なくすることができ、ローン残高が減る分、支払う利息も減るからです。ローン残高が多いほど効果が大きくなります。
ただし、昨今は金利の低い時代が続いてきたため、住宅ローンの見直し効果は低下している側面があります。家計防衛策という視点で考えた場合には、まずは金利の上昇の影響を事前に銀行に試算してもらうとよいでしょう。
水道光熱費などは基本生活費の中心となる費用
水道光熱費や固定電話・携帯電話料金、インターネット料金などの通信費、NHKの受信料、ネットフリックスなどの月額定額制の動画サービスの料金、新聞代、理容・美容費、ペット代、定期代などの交通費、各種会費(カードなど)、組合費、お小遣い、仕送りなど幅広いものが対象となります。
以下では、光熱費、通信費、サブスクリプション費用などについてみていきましょう。
光熱・水道費について消費者物価指数を見ると、2020年に比べて2022年は平均16.3%、2023年は平均8.5%上昇しています。2022年より2023年の上昇率が低いのは、政府が『電気・ガス価格激変緩和対策事業※』を実施したことで、2023年1月使用分から電気・ガス料金が値下げされたからです。政府は2024年4月使用分まで値引きを続けるとしています。なお、5月からは値下げ幅を縮小させる方針ですが、電気料金を削減する方法のひとつとして、これを機に電気やガスをより安い会社やプランへの乗り換えを検討してみることもひとつの方法でしょう。
また、それ以外にも「アンペアを見直す」「料金プランを見直す」「節電する」などの方法もあります。
・アンペアを見直す
月々の電気料金の「基本料金」は、契約アンペアに応じて決まります。契約アンペアの大きさは、同時に使用できる電気の量を表すものであり、必要なアンペアは家族の人数によって変わるでしょう。一般家庭では30〜40アンペアが目安。家族の人数に対してアンペアが大きすぎないか確認してみましょう。子どもが独立して夫婦2人の生活になったあとも、大きいアンペアのまま……というケースもあります。
・料金プランを見直す
電力会社やガス会社は、各社さまざまなプランを提供しています。電気とガス、またはスマートフォンやインターネット回線などとのセットプランにすることで削減につながるかもしれません。電気会社やプランを選ぶ際は、ウェブサイトや料金比較サイトを活用してシミュレーションするのがおすすめです。
・節電する
日々の節電も重要です。資源エネルギー庁によると、家庭での電力消費量はエアコン、冷蔵庫、照明で5割以上を占めているそうです。節約するには、これらの省エネがカギ。たとえばエアコンでは、ムリのない範囲で温度設定を変えたり、フィルターを小まめに掃除したりするといった小さな工夫が節約につながります。「ペットがいてエアコンがフル稼働」というご家庭にとっても節約効果が高いでしょう。
そのほか、家電の省エネ性能は年々進化しているので、古い家電は思いきって買い換えるのも有効かもしれません。とくにオール電化住宅は、機器によって電気代が大きく変わります。省エネ性の高い機器の導入には補助金が出る場合もありますので、一度検討してみてはいかがでしょうか?
資源エネルギー庁の『省エネポータルサイト※』では、家庭でできる省エネテクニックがたくさん紹介されています。ぜひ参考にしてみてください。
インターネットやスマートフォンに関しても、より安い会社やプランへの乗り換えがおすすめです。インターネット料金には、スマートフォンやガス・電気とセットで契約することで割引きになるものも。スマートフォンも大手キャリアから格安SIM・格安プランに変更することで、利用料の削減につながるかもしれません。なかには契約時にキャッシュバックやポイント還元などが受けられる会社もあるので、ぜひ活用したいところです。
月額課金型サービスの『サブスクリプション』。定額料金を支払うと使い放題になるサービスで「月額◯◯円で動画見放題」といった動画配信サービスなどが、これにあたります。「初回の無料キャンペーンに惹かれて加入したものの、あまり使っていない」というものはないでしょうか?そのようなサブスクは見直しを検討するのもひとつの方法です。
教育費は「聖域」になりがちな支出の代表ともいえる
教育関連費には、子どもの塾代・習い事代などがあります。ただし、幼保無償化や義務教育、高校の実質無償化、大学や専門学校などの給付型奨学金などを除きます。
子どもの習い事や塾も、大きな固定費。あくまでも子どもの希望や保護者の教育方針などを十分考慮した上ですが、「月謝の安い教室に変える」「短期講座やオンライン講座も取り入れる」などで節約が可能です。
保険は公的な制度を踏まえ必要かどうかを検討することが大切。
保険の見直しについては、ここではおもに生命保険や医療保険、傷害保険などの保険料についてポイントをご紹介します(火災保険や自動車保険料についてはそれぞれ口述する「住宅関連費」と「自動車関連費」で詳細をご紹介します)。
火災保険や自動車保険といった損害保険は、万一のときの損害額が多額に及ぶため、物価が上昇するからといって安易に補償内容を見直すというのは好ましくないかもしれません。補償内容を検討した上で、保険料を抑える工夫をしていくようにしましょう。
一方、生命保険や医療保険、がん保険などについては、ご自身の年齢やライフステージを前提に、社会保障制度などを考慮の上、必要な保障とそうでない保障を見極めることが大切といえます。
物価上昇期において、一部の死亡保険や学資保険、個人年金保険などの貯蓄性のある保険を検討する際も、まず、公的な制度(たとえば、医療保険制度や公的年金制度、子育て支援制度など)を前提に必要かどうかを検討していくと良いでしょう。
なぜならば、物価上昇期においては、お金の価値が目減りするため、貯蓄性のある保険から支払われる保険金などの価値が目減りするからです。これらの保険は、一般的に、資産運用で用いられる株式や投資信託などの金融商品と比べるとコストが高く、運用利回りが低いというデメリットがあります。
たとえば、将来の年金収入を増やしたいと考える場合、貯蓄性のある死亡保険や個人年金保険ではなく、iDeCo(個人型確定拠出年金制度)を活用するのもひとつの手といえるでしょう。また、年金制度ではありませんが、証券税制(≒投資税制)としてのNISA(少額投資非課税制度)を活用し、株式や投資信託などを購入し資産運用をおこなうのも有効な方法といえます。
ただし、iDeCo(個人型確定拠出年金制度)やNISA(少額投資非課税制度)を活用し資産運用する場合、価格変動などのリスク(不確実性)により損失を被る可能性があります。
このようなリスク(不確実性)を回避するために、貯蓄性のある保険に加入するのもひとつの選択肢といえます。
生命保険・医療保険などの保険については、まずは保障内容が重複していないか確認し、必要に応じて検討してみましょう。必要のない特約に入っていないかチェックすることも大切です。
また何年も見直していない保険は、現在のライフスタイルに合っていない可能性があります。保険は、就職・結婚・出産・住宅購入・子どもの独立・老後といったライフステージの変化にあわせて見直すことが重要です。
たとえば結婚した際には、ご自身に万が一のことがあったときに配偶者を守るための生命保険が必要になるかもしれません。出産したら、子どもの教育費を考えて学資保険が選択肢に入ってくるでしょう。子どもが独立したら、老後を見据えて医療保険を見直すタイミングです。そのときどきの状況にあわせて、保障内容や保障金額が適正か確認しましょう。
現在加入している生命保険は、保障額が多すぎないか確認しましょう。万が一のとき、遺族は公的年金から遺族年金を受け取ることができる可能性があります。また、勤務先から死亡退職金が支給されるケースも。住宅ローン組んでいて、団体信用生命保険に加入している方もいることでしょう。それぞれ試算して、トータルの保障額が多すぎるようなら見直しを検討することをおすすめします。
医療保険についても、保障が手厚すぎないか確認しましょう。公的医療保険制度があるので、病気やケガで通院・入院したときの自己負担割合は1〜3割。自己負担額が上限額を超えると、超えた分の差額が払い戻される「高額療養費制度」もあります。さらに加入している健康保険組合によっては、一定額を超えた医療費を払い戻してくれる「付加給付制度」がある場合も。それにより、さらに負担が小さくなる可能性があります。こうした公的保障を踏まえたうえで「不必要な保障や特約を解約する」「もっと安い保険に切り替える」などの見直しをしましょう。
車の維持費は、さまざまな角度から削減が可能
自動車ローンの返済金、リース代、自動車保険料、車検代(自賠責や重量税などを含む)やメンテナンス費用、自動車税、駐車場代、ジャフ代など。
車は、持っているだけで各種税金やメンテナンス代、駐車場代などの維持費がかかります。とくに古い車は、メンテナンス代や車検代が高くなる傾向があります。電気自動車やハイブリッドカーなどのエコカーと比べて燃費性能が劣るため、ガソリン代も高くなりがちです。可能ならば乗り換えを検討してもいいかもしれません。その際、乗用車に比べてコンパクトカーや軽自動車の方が税金やガソリン代が安くなる傾向があるため、小さなサイズをセレクトするのもよいでしょう。
車の維持費は、さまざまな角度から削減が可能です。それぞれポイントをご説明しましょう。
自動車保険は1年契約が一般的。更新時期を待って、ほかの保険会社に切り替えることで、すぐに保険料を削減できるかもしれません。その際、通販型(ダイレクト型)を選ぶと代理店型の保険に比べて安く契約できる可能性があります。一括見積もりサイトなどで各社比較すると選びやすいでしょう。
ガソリン車・LPG車の場合、新規登録してから13年、ディーゼル車は11年が経過した段階で自動車税(種別割)の税率がアップ。また種別問わず、13年経過すると自動車重量税の税率が上がり、18年経過するとさらに上がります。一方エコカーは、新規登録のタイミングや車種などによって税制優遇措置が受けられ、自動車税や自動車重量税が軽減されます。こういった情報も考慮しながら、乗り換えを検討するとよいでしょう。
ガソリン代が上昇している今、車の燃費もしっかり把握しておきたいところです。たとえば「ふんわりとアクセルを踏んで、ゆっくり発進する」「広めの車間距離で、加速・減速を少なくする」「早めにアクセルを離す」など、小さな工夫で燃費の削減が可能です。
車のメンテナンスを小まめにおこなうことで、大きなトラブルを回避でき、結果的に出費をおさえることができるかもしれません。車検やメンテナンス費用は業者によって異なります。カーディーラーにこだわらず、民間の車検場やガソリンスタンドなどでの車検サービスを含めていくつか比較するとよいでしょう。簡単なメンテナンスはご自身でおこなうと、さらに出費をおさえられます。
駐車場を借りているなら、近くにもっと安い駐車場がないかを探してみることはひとつの方法ですが、昨今は自家用車を保有するだけではなく、定額サービスやカーリース、カーシェアリングなど時間ごとに利用する動きが広がっています。また、日常的に車がそれほど必要のない地域で住まわれている場合には、レンタカーを利用する方法もあるでしょう。
自家用車を保有する以外の方法を選べるのであれば、大幅な固定費削減につながる可能性があります。
総務省の調査※によると、2人以上の世帯における1ヵ月あたりの消費支出は、2021年に比べて4.2%増えているそうです。デフレから脱却し、物価が上昇していくならば、固定費を減らすことに加えて、食費や日用品の費用など支払い額がその時々でかわる「変動費」を減らすこと、つまり日々の節約術も大事だといえるでしょう。
支出のなかでも大きな割合を占めているのが、食費。総務省によれば家計における支出の中で1/4以上を占めているそうです。また1世帯当たりの食費は、平均で1ヵ月63,597円。単純に考えて、食費を1割減らすと年間およそ76,300円の節約につながるということになります。これはかなり大きな金額ではないでしょうか?
食費を減らすポイントは「食品ロスを減らす」ことです。買いものへ行くときは冷蔵庫の中をチェックして、買うものを決めてから行きましょう。余分な食材を買わずに済みます。
買った食材は、ムダにしないように食べきることが大切。食べられる分だけ調理し、残したものはアレンジして翌日食べるなどの工夫をしましょう。冷凍食品の活用もおすすめです。生野菜や果物といった生鮮食品は値上げの影響を受けやすい一方、冷凍食品は価格が変わりにくいのが特徴。生鮮食品に比べて賞味期限も長いので、冷凍庫にストックして、かしこく使うと節約につながります。
また保存方法を工夫すれば、食材の鮮度を長く保つことができるため、まとめ買いした肉や魚、野菜などをムダなく使いきれます。適切な保存場所は食材の種類によって異なるので、使い分けることがポイント。たとえばジャガイモやタマネギは常温(14℃以下)、キャベツや白菜は乾燥防止をしたうえで冷蔵庫へ。ほうれん草やブロッコリーは火を通してから冷凍すると長持ちします。肉や魚は、水分を取ってから冷蔵しましょう。冷凍する際は下味をつけてから冷凍すると、解凍する際に水分が抑えられるので、おすすめです。
日々の支払いをキャッシュレス決済にするのも節約につながります。キャッシュレス決済とはクレジットカードや、スマートフォンでのバーコード決済のこと。一般的に支払い金額に応じてポイントがつきます。ポイントを効率的に貯めて上手に使えば、家計の助けになるでしょう。
食費を節約する上では、前述したような買い物の方法や保存の仕方は重要ですが、実は「料理の腕を磨く」ということも、食費を節約させるポイントです。食材をうまく使えるようになったり、外食の頻度も減ったりするので、おのずと食費の節約や時間の節約につながります。
特に、子育て世帯にとっては、時間の節約はとても重要。家事を夫婦でおこなうと余暇の時間を生み出しやすくなるため、その余った時間で他の活動に時間を振り分けることにもつながるでしょう。そして、結果として生み出した時間で、家計についてどのようにすべきかを考え、実行することもできます。
つまり、間接的には料理の腕を磨いたり、家事を家族全体でおこなったりする発想は、長い目で見ると物価上昇にも効果的。実は、時間をいかに生み出すかという工夫が物価上昇への防衛策にもなりえると考えます。
物価の上昇が長期化し、多くのご家庭が家計の見直しを迫られていることでしょう。家計を見直すには、まず家計を「見える化」することが大切。家計簿をつけたり、スマートフォンの家計簿アプリを活用したりするなどして、全体の支出を把握することからはじめましょう。
またファイナンシャル・プランナーなどのプロに相談するのもおすすめです。固定費の削減はもちろん毎日の節約など、さまざまな工夫を駆使して、この物価上昇期(インフレ期)と上手に付き合っていきましょう。
政府は、物価上昇対策として電気代やガソリン代に対する事業者支援、低所得者向けの給付金、所得税の減税など打ち出しました。
また、デフレから脱却するために、物価上昇率を上回る賃金上げを目指し、景気の本格回復を試みています。
今のような物価上昇は悪い物価の上昇と言われますが、仮に景気が回復するようになれば良い物価の上昇と評価されるでしょう。
私たちは今、これまでのデフレからインフレの時代に移行する、まさに転換点を生きています。良いインフレは通常、私たちの暮らしをより豊かにします。デフレマインドを捨て、インフレマインドに切り替える。豊かになるための工夫が、今後、一層求められてくるのではないでしょうか。
監修日:3月7日(火)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
2007年、ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP資格」を取得後、開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務をおこなうかたわら、企業向けの福利厚生制度として「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、事業主・従業員の生活相談にも取り組む。
2014年、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP資格保持者として登録。
2016年、国土交通省「住み替え等円滑化推進事業」において、日本FP協会会員として、空き家対策や移住、住み替えなどの相談業務を開始。
2017年、文部科学省・独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
そして、2018年、日本FP協会千葉支部「成田スタディーグループ」の一員となり、CFPとして、後続のファイナンシャル・プランナーに対する教育・育成をおこなう。
妻は保育士、二児の父。
〔社会貢献〕
(掲載開始日:2024年5月16日)
2404173-2404