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最終更新日:2024年1月23日
もしも離婚することになった場合、共有財産をどのように分配するかを話し合う必要がありますが、この共有財産の中には年金も含まれます。とくに専業主婦(主夫)の方など、離婚後の収入に不安がある場合には老後に受け取ることができる年金がいくらくらいになるのかは気になる点ではないでしょうか。この記事では、夫婦が離婚した際に一方の年金を分割できる「年金分割」制度についてわかりやすく解説します。
夫婦が結婚している間に築いた財産については、夫婦2人の共有財産として扱われ、年金も共有財産に含まれます。そのため、離婚した場合には、2人の婚姻期間中の厚生年金を分割し、それぞれ自分の年金とすることができます。これを「年金分割制度」といいます。
わかりやすく説明すると、年金分割制度とは、離婚した際に厚生年金の保険料納付記録を多い方から少ない方へと分割する制度です。「厚生年金」とあるように、年金分割制度は夫婦のどちらか、または2人が会社員や公務員など厚生年金加入者(公的年金制度の第2号被保険者だった期間のある方)の場合に利用できる制度です。国民年金は分割の対象に含まれません。
年金分割とは、婚姻期間中の厚生年金納付記録(標準報酬月額・標準賞与額)を夫婦で分割する制度です。なお、分割するのはあくまで「婚姻期間中」の納付記録が対象となるので、結婚前の期間の納付記録については分割の対象となりません。
年金分割の方法には、「合意分割制度」と「3号分割制度」の2つがあります。「合意分割」は、分割の割合を2人で話し合い、合意によって決定する方法です。分割を受ける側に、専業主婦(主夫)か共働きかといった条件はありません。なお、合意がまとまらなかった場合は、家庭裁判所に申し立てて、調停または審判で割合を決定します。分割割合の上限は2分の1です。
一方「3号分割」は、会社員・公務員の配偶者で国民年金保険の第3号被保険者に該当する専業主婦(主夫)やパート勤務などの方のみが選択できる方法です。第3号被保険者が対象になるため、3号分割と呼ばれます。
3号分割では、夫婦の合意は必要ありません。「年金分割を受ける側の配偶者」が手続きをすれば、扶養されていた期間についての配偶者の厚生年金記録を分割して、第3号被保険者期間中の年金記録を2分の1ずつ分割することができます。
合意分割と3号分割の違いをまとめました。
合意分割 | 3号分割 | |
---|---|---|
申し立てができる人 | 離婚した夫婦のどちらか | 離婚した第3号被保険者 |
夫婦間の合意 | 双方の話し合いで決める (決まらなかった場合は家庭裁判所による調停または審判) |
合意の必要なし |
実施開始時期 | 2007年(平成19年)4月1日 | 2008年(平成20年)4月1日 |
分割の対象期間 | 婚姻していた期間 | 第3号被保険者だった期間(2008年4月1日以降) |
分割の割合 | 双方の合意もしくは裁判手続きによって決定 (最大で保険料納付記録の2分の1) |
保険料納付記録の2分の1 |
以下では、それぞれ詳しく合意分割と3号分割について解説します。
合意分割は、離婚する夫婦が婚姻期間中の保険料納付記録の按分割合を決める方法のことです。按分割合は双方の協議もしくは家庭裁判所の調停や審判で決定し、最大2分の1の割合で分割することができます。なお、合意分割できるのは、次の3つすべてに該当した場合に限られます。
また、すでに厚生年金を受給している人が合意分割をした場合や、すでに厚生年金を受給している人から合意分割を受けた場合には、年金分割の請求をした月の翌月分から年金額が変更されます。
3号分割とは、会社員や公務員などに扶養されていた配偶者(国民年金第3号被保険者)が請求できる制度です。2008年(平成20年)4月1日以後の婚姻期間が対象で、第3号被保険者であった期間の相手方の厚生年金記録の2分の1を分割することができます。請求にあたっては、2人の合意は必要ありません。なお、3号分割できるのは、次の3つにすべて該当した場合に限られます。
また、婚姻期間中に共働き期間と専業主婦(主夫)の期間がどちらもある場合に合意分割の請求をおこなうと、合意分割と同時に3号分割の請求があったとみなされます。この場合、合意分割による年金の分割と3号分割による分割どちらも行われ、専業主婦(主夫)だった期間には3号分割が適用されます。
厚生労働省の「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」※によると、2021年度の離婚件数180,727組に対し、年金分割の件数は34,135件、割合にして約18.9%となっています。年金分割は手続きによって得られる権利ですので、手続き方法はしっかりと把握しておきましょう。年金分割の手続きの流れは以下のようになります。
※出典:厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
出典:日本年金機構「離婚時の年金分割について」をもとに当社作成
年金分割をするには、「年金分割のための情報通知書」の請求をし、受け取る必要があります。そのためにまず「年金分割のための情報提供請求書」を年金事務所へ提出します。日本年金機構のホームページから入手可能です。
参考:日本年金機構ホームページ
「年金分割のための情報提供請求書」には、基礎年金番号や住所氏名などの情報の他、婚姻期間や年金の資格記録、希望する按分割合などを記載します(3号分割の場合は希望割合を記載する必要はありません)。「年金分割のための情報提供請求書」の提出は夫婦共同でおこなうことも、どちらかが単独でおこなうことも可能です。実際に離婚する前に請求することもできます。
なお、手続きに際しては「年金分割のための情報提供請求書」に以下の書類を添えて提出します。
書類が受理されると、「年金分割のための情報通知書」が送られてきます。
合意分割の場合は、夫婦間で按分割合をどうするのか、話し合いによって決める必要があります。合意した場合と、合意しなかった場合とで、その後の流れが異なります。
話し合いで合意ができた場合は、夫婦が2人で年金事務所に行き、年金分割改定請求手続きをおこないます。または、それぞれの代理人による手続きも可能です。
話し合いで合意しなかった場合は、家庭裁判所に審判または調停の申立てをおこない、按分割合の協議をおこないます。
調停でもまとまらない場合は、裁判官の判断によって按分割合が決定されます。
按分割合が決まったら、年金事務所にて年金分割改定請求手続きをおこなう必要があります。「標準報酬改定請求書」に以下の書類を添えて提出します。
以上の手続きをおこなうと、按分割合に基づいて厚生年金の標準報酬が改定されます。改定後、日本年金機構からそれぞれに「標準報酬改定通知書」が通知され、受け取ることができます。
年金分割の手続きをおこなう場合、まずは請求期限に気をつけましょう。年金分割の手続きは、離婚をした日の翌日から2年間と定められています。原則、2年を経過すると請求できなくなってしまいます。ただし、2年を経過するまでに審判申立や調停申立をおこなったが、2年経過後に審判が確定したり、調停が成立したりする場合などは、申立日の翌日から起算して6ヵ月経過するまでに限り、分割請求することができます。
離婚後に別の人と再婚した場合でも、すでに決まっている年金分割は有効となります。
婚姻関係がなく、事実婚の夫婦であっても年金分割は可能です。ただし、夫婦いずれかが第3号被保険者であった期間が必要です。事実婚を証明できる住民票などを準備しましょう。
年金分割は、厚生年金を夫婦の共有財産として扱い、婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録を分割する制度です。双方の協議や合意によって按分割合を決めることもできますし、専業主婦(主夫)の第3号被保険者だった方は3号分割によって婚姻期間中の2分の1を按分することができます。ただし、3号分割の対象となる期間は2008年4月1日以後の第3号被保険者期間のみとなりますので注意しましょう。
また、年金分割は離婚後2年を経過してしまうと請求ができなくなってしまいますので、手続きは早めに対応しましょう。
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