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【FP執筆】児童手当の特例給付が年収1,200万円以上で廃止に。所得制限・見直し対象の世帯とは?

【FP執筆】児童手当の特例給付が年収1,200万円以上で廃止に。所得制限・見直し対象の世帯とは?

公開日:2021年4月5日

子育てには、生活費や将来の教育費などお金の心配がたくさん。2021年3月現在、0歳から3歳未満のお子さんを育てている方には月15,000円、3歳以上中学校卒業までのお子さんを育てている方には月10,000円の児童手当が支給されています。また、家族構成ごとに決まっている所得制限以上の収入がある方には、児童手当の特例給付として月に5,000円が支給されています。

この児童手当の特例給付が、一部世帯で見直しされることになりました。

両親どちらか一人が1,200万円以上の年収を得ている場合、特例給付5,000円の支給が廃止されることになったのです(モデルケースの4人家族の場合)。なお、今回の制度見直しでは、共働き世帯の収入合算は見送りになりました。

この記事では、「特例給付の廃止はいつから?」「家族構成によって所得制限の金額は違うの?」など、児童手当の改正ポイントをお伝えします!

2022年10月支給から変更!児童手当の改正内容とは?

児童手当の特例給付が見直されるのは、2022年10月の児童手当支給分からです。

新しい基準では、両親どちらか所得の高い人が一定の所得に達すると、児童手当の特例給付5,000円がゼロになります。

政府が2020年12月15日に閣議決定した「全世代型社会保障改革の方針」内のモデルケースは、会社員の世帯主と年収103万円以下の配偶者、子ども2人がいる4人家族としていて、この家族構成の場合、児童手当の特例給付が廃止になる基準年収の目安は1,200万円です。

同じ家族構成でも、収入が高い方の年収が960万円以上1,200万円未満の場合は、児童手当の特例給付として変わらず1ヵ月あたり5,000円を受け取ることができます。

共働きの場合は、夫婦の年収を合算して1,200万円以上になったとしても、今まで通りの金額を受け取ることができます。あくまでも、夫婦どちらかの年収が1,200万円を超えた場合のみが廃止の対象です。

■特例給付が廃止される世帯の例

年収1,200万円以上で、特例給付が廃止される世帯の例(4人家族)年収1,200万円以上で、特例給付が廃止される世帯の例(4人家族)

・特例給付の廃止基準に該当する所得は、家族構成によって異なる

児童手当の所得制限は、家族構成によって該当する基準金額が違います。現行の所得制限も、扶養親族等の数が0人の場合の622万円が所得制限限度額の基準となり、扶養親族等の人数が1人増えるごとに38万円が加算されています。

扶養親族等の数は、前年度の12月31日時点でカウントします。たとえば、令和3年2月1日生まれの子ども、夫婦ともに年収103万円以上所得がある共働き家庭の場合、令和2年12月31日現在で扶養親族等の数は0人です。

児童手当が廃止されるモデルケースの年収1,200万円の家族構成とは、世帯主が年収103万円以下の配偶者と子ども2人を養っているケースです。

他の家族構成の場合に特例給付の支給が廃止になる年収は、現在議論されていますが、現行の所得制限の計算を参考にすると、モデルケースよりも扶養家族が多くなれば特例給付が廃止になる年収も上がる可能性がありますし、扶養家族が少ないと年収1,200万円以下でも特例給付廃止の可能性もあると考えられます。

改めておさらい! 現行の児童手当とは?

児童手当とは、中学3年生(15歳を超えて最初の3月31日まで)までの子どもを養育している方に現金が支給される制度です。

支給額は、子どもの年齢と所得、子どもの数で変わります。

3歳未満は一律15,000円(月額)、3歳以上中学校終了前までは第1子・第2子なら1万円(月額)、第3子以降は15,000円(月額)、中学生は一律1万円(月額)です。

第1子・第2子の場合、中学校を卒業するまでおよそ200万円の児童手当を受け取ることができます。

ただし、夫婦のどちらかが所得制限以上の収入の場合、子どもの年齢に関係なく中学校卒業まで一律5,000円(月額)が支給されます。

※支給されるのは、原則として申請した翌月分からです。ただし、生まれた日や引っ越しなどで別の自治体に転入した日(異動日)が月末に近い場合、申請日が翌月になっても異動日の翌日から15日以内であれば、申請月分から支給されます。児童手当は生まれ月によって支給開始時期が異なるため、受け取る総額は誕生月により変わります。

・児童手当の受給額

下の表は、横にスライドしてご覧ください
  • 受給する方が所得制限以上の場合、1人につき月額5,000円
年齢 1人あたり月額
0歳~2歳 15,000円
3歳~小学校(第1子、第2子) 10,000円
3歳~小学校(第3子以降) 15,000円
中学卒業まで 10,000円

・児童手当の特例給付に該当する所得制限とは、いくらから?

所得制限の限度額は、前年の所得が基準となり、“扶養親族等の数”で決まります。

先述しましたが、児童手当の扶養親族等の数とは、所得税法上の同一生計配偶者及び扶養親族と前年の12月31日時点で生計を維持した児童の数をいいます。

扶養親族等の数が0人の場合の「所得622万円」が所得制限限度額の基準となり、扶養親族等の人数1人あたり38万円が加算されます。

扶養親族等の人数が2人なら、「622万円+(38万円×2人)=698万円」が所得制限限度額になります。

たとえば、世帯主と年収103万円以下の配偶者、子ども2人の4人家族の場合、所得制限の限度額は736万円、会社からお給料をもらっている人の年収目安は960万円です。

配偶者が年収103万円を超える場合は、扶養親族の数から除外されるので、4人家族でも所得制限の金額は698万円(給与収入の場合、年収917.8万円)になります。

■現行の児童手当の所得制限額

下の表は、横にスライドしてご覧ください
扶養親族等の数 所得制限限度額 給与収入額の目安 こんな家族が該当!
0人 622万円 833.3万円 子どもが1人のひとり親世帯※
子どもが1人で、配偶者の年収が103万円以上※
※前年の12月31日時点で、まだ生まれていない場合
1人 660万円 875.6万円 子どもが1人のひとり親世帯
子どもが1人で、配偶者の年収が103万円超
2人 698万円 917.8万円 子どもが2人のひとり親世帯
子どもが2人で、配偶者の年収が103万円超
子どもが1人で、配偶者の年収が103万円以下
3人 736万円 960万円 子どもが3人のひとり親世帯
子どもが3人で、配偶者の年収が103万円超
子どもが2人で、配偶者の年収が103万円以下
4人 774万円 1,002万円 子どもが4人のひとり親世帯
子どもが4人で、配偶者の年収が103万円超
子どもが3人で、配偶者の年収が103万円以下
5人 812万円 1,040万円 子どもが5人のひとり親世帯
子どもが5人で、配偶者の年収が103万円超
子どもが4人で、配偶者の年収が103万円以下

・給与収入以外の方はどう計算する?

サラリーマンなど給与所得者のケースは、自治体で配布されるリーフレットやホームページなどに参考の年収額が載っているので判断しやすいですよね。しかし、それ以外の働き方の人は「所得制限がいくらなのか」ピンとこない人もいるのではないでしょうか。2021年6月分からの児童手当の計算方法を基に確認しておきましょう。

児童手当の基準となる所得額の計算方法は、「所得額-控除額-8万円=児童手当の基準となる所得額」です。

所得額とは、給与所得や事業所得、不動産所得、一時所得、雑所得などの1年間(1月1日~12月31日まで)の所得の合計金額です。事業所得の人は、必要経費を差し引いた後の金額が該当します。

そこから、控除額として雑損控除や医療費控除、小規模企業共済等掛金控除などを差し引いたあとに、法律に定められた控除額として8万円を差し引きます。

医療費控除、小規模企業共済等掛金控除などを利用すれば、児童手当の所得制限の判定基準となる所得額が下がるかもしれません。

■【令和3年6月以後】児童手当の基準となる所得額の計算方法

 

参考:横浜市「令和3年6月から児童手当の所得や控除額の計算方法が変わります」

年間6万円の収入減⁉ ますます必要になる教育資金計画

児童手当の特例給付が廃止される世帯の場合、1人の子どもにつき1年間で6万円の支給がなくなることになります。仮に2023年4月生まれの子どもの場合で計算すると、それまでなら受給できていたはずの95.5万円(中学校卒業までの総額)が受け取れなくなります。子どもが2人なら191万円にもなると考えると、大きな金額ですよね。

「今まで月に5,000円しか受け取っていなかったから、廃止されても影響はない」と考える人もいるかもしれませんが、塵も積もれば山となる。家計に余裕がある場合でも、子どもが小さい頃から教育資金について計画的に準備しておく必要性が増しているといえるでしょう。

また、「全世代型社会保障改革の方針(2020年12月15日に閣議決定)」の中では、今回見送りになった「夫婦の収入を合算して児童手当の所得制限を考える方針」も、世帯間の公平性の観点から引き続き検討することが記されています。

そのため、今回の特例給付の廃止には該当しなかった「夫婦で年収を合算して特例給付の廃止基準に該当する世帯」や「今まで児童手当を受取っていた世帯」などでも、今後の政府の方針によっては受給対象外となったり、受給額が引き下げとなったりする可能性も考えられるのです。こういったことを考えると、児童手当とは別に、教育資金を計画的に準備しておくと安心です。

・子どもの将来にかかるお金、どう準備するのがいいの?

教育資金を準備する考え方のひとつとして、児童手当を貯蓄しながら、別に預貯金を積み立てる方法があります。児童手当を所得制限なしで満額受け取っている世帯は、児童手当を全額貯めるとおよそ208.5万円貯めることができ(4月生まれの子の場合)、これとは別に0歳から高校卒業の18歳まで月1万円を預貯金などで積み立てると、228万円貯めることができます。児童手当と預貯金の合計は436.5万円。文部科学省の「私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によると、私立大学の4年間の授業料と入学料・施設設備費の合計はおよそ405万円なので、その全額を賄うことができます。

児童手当の特例給付も全額貯めると95.5万円、0歳から高校卒業の18歳まで月1.5万円貯めると342万円となり、合計で437.5万円になります。

※出典: 文部科学省「私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」

■児童手当(特例給付)と預貯金の合計額

児童手当の特例給付が廃止される世帯の場合、児童手当を受け取っている世帯と同じように子ども1人あたり436.5万円を高校卒業までに準備するなら計画性が重要です。

0歳からスタートすれば毎月約2万円、5歳からなら毎月約2.6万円、10歳からなら約4万円を積み立てることになるため、早くからスタートすると1ヵ月あたりの負担金額は軽減されます。

子育て世帯は、学費以外にも、日々の生活費や住宅ローン、習い事の費用や塾代、保育料などの支出もやりくりしていかなければなりません。大切なのは、しっかりと計画を立てて実行すること。子ども自身が奨学金制度を利用して進学することも可能ではありますが、親が学費を準備するなら、計画性がなによりも重要になります。

たとえば、毎月決まった金額を自動的に引き落とし、定期預金として積み立てる積立定期預金や学資保険などを利用すると、一度手続きをすれば自動的に引き落としが続き、計画的に教育資金が準備できます。

おじいちゃんおばあちゃんに金銭的な余裕があれば、ジュニアNISAを利用したり、入学金や学費など教育費をその都度贈与してもらったりなどの援助を検討してもらうのもよいかもしれません。

廃止されるからこそ、計画的な準備を心がけて

今回の児童手当の特例給付の見直しをきっかけに、子どもの教育費用などの準備について、改めて検討してみてはいかがでしょうか。

どこまでなら教育資金として準備できるか、どこまでしてあげたいと思っているのか。可能であれば配偶者だけではなく、おじいちゃんおばあちゃんも含め、家族みんなで話し合い、計画的な準備をすることで今後の安心となるでしょう。

著者情報

荒木 千秋(あらき ちあき)

ライター

ファイナンシャルプランナー 荒木 千秋(あらき ちあき)

荒木FP事務所代表 ファイナンシャルプランナー

AFP 2級FP技能士

大阪電気通信大学特任講師として、主にFP・金融関連の授業を担当。

専門は、金融経済教育、金融リテラシー。

三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)に勤務したのち独立。

現在は独立系FPとして、執筆・講演など幅広く活躍中。

著書に『「不安なのにな〜にもしてない」女子のお金入門(講談社)』がある。

 

荒木FP事務所ホームページ

https://araki-fp.com/