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最終更新日:2023年5月15日
2019年10月1日、消費税の税率が8%から10%に引き上げられました。これにともない、所得が一定の水準より低い年金受給者の方は「年金生活者支援給付金」という給付金を受け取ることができるようになりました。
年金生活者支援給付金の支給対象になるのは、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金を受給していて、一定の水準以下の所得に該当する方で、それぞれ受給要件や給付金額が異なります。この記事では、年金を受給している方やそのご家族の方に向けて、年金生活者支援給付金の支給対象や条件、支給月などをわかりやすく解説します。
年金生活者給付金には、老齢(補足的老齢)生活者支援給付金、障害年金生活者支援給付金、遺族年金生活者支援給付金の3つの種類があります。
上記の給付金の支給は2019年10月1日の消費税引き上げと同時にスタートし、年金支給日(偶数月の中旬)に2ヵ月分まとめて支給されています。
ただし、支給要件を満たしている方であっても、日本国内に住所がない人、年金が全額支給停止になっている人、または刑事施設等に拘禁されているときは給付金の対象外になるので注意しましょう。
老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金とは、現在老齢基礎年金を受け取っていて、かつ所得が少ない人に支給される給付金です。自分や家族が該当者かどうか確認してみましょう。
老齢基礎年金を受給している方は、老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の支給対象になるかもしれません。
老齢年金生活者支援給付金の支給要件を見ていきましょう。
65歳以上で老齢基礎年金を受給している人は、まず前年度の所得の合計を算出してみましょう。この合計には、給与所得や利子所得など、公的年金以外の所得も含まれます。
老齢年金生活者支援給付金の給付額は、年金保険料を納付した期間(保険料納付済期間)と年金保険料を納めることが免除されていた期間(保険料免除期間)によって変わります。
老齢基礎年金を満額(約78万円)受給している人の場合、老齢年金生活者支援給付金の給付額は年額60,240円(月額5,020円)となり、年金に給付金を上乗せした合計額は約84万円となります。
老齢年金生活者支援給付金は、保険料納付済期間と保険料免除期間をもとに、以下の計算式で算出されます。
保険料納付済期間に基づく給付額+保険料免除期間に基づく給付額
(5,020円 × 保険料納付済月数÷被保険者月数480月)+(10,802円 × 保険料免除月数÷被保険者月数480月)
給付額の計算式で注意したいのが、保険料納付済期間に基づく給付額における5,020円と、保険料免除期間に基づく給付額の10,802円です。
保険料納付済期間に基づく給付額における5,020円は、毎年物価に応じて見直されるため、年度によって変動します。また、保険料免除期間に基づく給付額における10,802円は保険料全額免除、4分の3免除、半額免除の期間が対象で、保険料4分の1免除期間の場合には、5,401円になります。
老齢基礎年金の満額相当の金額も毎年改定され、給付額が変動する点に注意しましょう。
年金生活者支援給付金の請求手続きを行うと、日本年金機構から「年金生活者支援給付金 支給決定通知書」が届きます。この支給決定通知書に、受給金額も記載されています。
老齢年金生活者支援給付金の所得要件を満たしていない人でも、年金収入と所得の合計額が881,200円(2022年度)以内であれば、補足的に給付金を受け取ることができます。
たとえば、老齢基礎年金を年78万円(年)、老齢年金生活者支援給付金を年6万円(年)受け取っている人の収入は、年額84万円になります。これは、老齢年金生活者支援給付金の対象にならない年収80万円の人よりも多い額です。この所得の逆転をなくすため、補足的老齢年金生活者支援給付金があり、前年の年金やその他の所得を合計した金額によって給付額が逓減します。
子どもの扶養に入っている高齢者でも、支給要件を満たしていれば、老齢年金生活者支援給付金を受け取ることができます。ただし、支給要件にある通り、「同一世帯の全員が市町村民税非課税」でなければなりません。
同一世帯とは、同じ家で暮らし、生計を共にしている世帯を指します(*)。子どもの扶養に親が入る場合、同一世帯のケースもあれば、別世帯のケースもあります。別世帯であれば、年金を受給している親は年金生活者支援給付金を受け取ることができますが、同一世帯であれば、「同一世帯の全員が市町村民税非課税」という要件を満たさないと年金生活者支援給付金を受給することはできません。
現在障害基礎年金を受給しており、支給要件を満たしている人は、障害年金生活者支援給付金の支給対象となります。支給要件と支給額について詳しく見ていきましょう。
障害基礎年金を受給している方は、障害年金生活者支援給付金の支給対象になるかもしれません。
障害年金生活者支援給付金の支給要件を見ていきましょう。
障害年金など、課税所得とみなされない非課税収入は受給要件の算定基準に含まれないところがポイントとなります。
障害年金生活者支援給付金の給付額は、
となります(令和4年10月時点の金額)。ただし、この給付額は物価によって変動するため、毎年度の見直しにより変わることがあります。
遺族基礎年金を受け取っており、支給要件を満たしている人は、遺族年金生活者支援給付金の支給対象となります。
遺族基礎年金を受給している方は、遺族年金生活者支援給付金の支給対象になるかもしれません。
遺族年金生活者支援給付金の支給要件を見ていきましょう。
遺族年金など、課税所得とみなされない非課税収入は受給要件の算定基準に含まれないところがポイントとなります。
遺族年金生活者支援給付金の給付額は、月額5,020円です。こちらも障害年金生活者支援給付金と同様に、物価変動によって毎年の支給額が見直され、支給額が変わることがあります。また、2人以上の子どもが遺族基礎年金を受給している場合には、5,020円を子どもの人数で割った額がそれぞれの子どもに支払われます。
これら3種の年金生活者支援給付金を受け取るためには、認定請求手続きを行う必要があります。
「既に年金を受給している方」と「これから年金を受給する方」で手続きの流れが異なります。
前年の所得がそれまでより下がって年金生活者支援給付金の支給対象になれば、毎年9月頃に日本年金機構からはがき型の年金生活者支援給付金請求書が送られてきます。この請求書に必要な事項を記入し返送することで、認定手続きが完了します。
老齢年金生活者支援給付金の支給対象になる方には、老齢基礎年金の新規裁定手続きの案内に、老齢年金生活者支援給付金の請求書が同封されます。老齢基礎年金の書類とともにこちらも提出すれば、手続きは完了します。
年金生活者支援給付金の請求手続きを行うと、日本年金機構から審査結果が届きます。この審査結果通知書に、受給金額も記載されています。
年金生活者支援給付金は、年金と同様で偶数月に、2ヵ月分を一度で受け取ります。年金支給日に、年金を受け取っている預金口座に振り込まれますが、年金とは別の名目で振り込まれるため、通帳には年金と給付金の2つの振り込みが記載されます。
年金生活者支援給付金制度は恒久的な制度ですので、支給要件を満たしていれば、制度がある間は給付金を受け取り続けることができます。支給要件から外れた場合には給付金を受け取ることができなくなります。
給付手続きは、一度行えば翌年以降手続きを行う必要はありません。ただし、支給要件から外れて年金生活者支援給付金の支給対象外となった人が、その後再び支給要件を満たした場合には、再度認定請求の手続きが必要です。
年金生活者支援給付金は世帯単位で給付されるものではありません。年金受給者一人ひとりが受け取ることのできる給付金ですので、夫と妻がそれぞれ支給要件を満たしている場合には、それぞれが給付金を受け取ることができます。
年金生活者支援給付金は、2019年10月から始まった制度です。老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金の支給を現在受けている方、これから各年金の支給対象となる方は、年金生活者支援給付金の給付対象である可能性があります。日本年金機構から案内が届いた場合には内容を確認し、認定請求手続きを行いましょう。
年金生活者支援給付金は物価の変動を受けて給付額が変わります。さらに、所得が増えたり、世帯の構成に変化があったりすると給付の対象外となることもあるので、支給要件や給付額を確認して、自分や家族がどれくらい年金生活者支援給付金をもらえるのか確認しましょう。
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