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最終更新日:2023年3月13日
今、加入している自動車保険に満足していますか? もし保険料や補償内容に満足できないのなら、自動車保険を乗り換えてみるのもひとつの方法です。どんなときに自動車保険の乗換を考えるべきなのか? ベストなタイミングは? All About自動車・バイク保険ガイドの西村 有樹(にしむら ゆうき)さんに教えてもらいました。
自動車保険を乗り換えるメリットとは? 早速、西村さんに説明してもらいましょう。
「自分や家族により合った補償や特約をつけられる(「見直し」ができる)こと、また保険料が安くなる可能性があることです。
たとえば、一般的に『人身傷害保険』は、契約の車やバス、タクシー、友人の車などに搭乗中、あるいは歩行中に自動車事故で死傷した場合などに補償してくれるものです。しかし、なかには、契約した車両に搭乗しているときだけ補償してくれればよいと考える人もいるでしょう。そこで、同じ『人身傷害保険』でも契約車両に搭乗中だけ補償のタイプ、または『搭乗中のみ補償する特約』をつけられる保険会社を選べば、保険料は安くなります。そこで乗換のメリットが生まれます。
その他にも、『新車買替特約』や『代車費用特約』などの特約の要・不要、『個人賠償責任』の補償の限度額など、補償の内容をよく見直すことで、自動車保険を乗り換えるメリットが出てくる可能性があります。その際には、同じ名前の特約でも保険会社によって補償内容が異なる場合もあるので、補償内容をきちんと確認することが大切です」
補償内容を見直すことで、自動車保険の乗換のメリットが出てくる可能性があるのだそう。それなら、積極的に乗り換えたくなりますが、今の自動車保険を継続した方がよいケースもあるのでしょうか?
「保険料が同水準、あるいは多少安くなっても補償内容が狭まる場合には、乗換がデメリットになることもあります。たとえば、『人身傷害保険』がついていて、保険料も安くなるからと乗り換えてみたところ、『人身傷害保険』という名称は同じでも補償が狭まっているというケースもあるのです。
『人身傷害保険』、『個人賠償責任保険』と一口にいっても、保険会社によって補償内容はさまざまです。たとえば、『人身傷害保険』には、歩行中の家族が交通事故で死傷したときも補償してくれるものがありますし、『個人賠償責任保険』には、『示談交渉サービス』がついている場合もあります。見積をして保険料が安くなったときに、そうした補償がついているのか、いないのかを確認しましょう。いくら保険料が安くなっても、必要な補償がなくなってしまったら、自動車保険を乗り換えるメリットはありません。
さらに、一般的には、車両保険で免責とされている地震・噴火・津波で車両が全損した場合に一時金が補償される『地震・噴火・津波車両全損時一時金特約』など、一部の特約は取扱保険会社が限られているので、いざというときのために必要だと考えるのなら、取り扱いがあることを基準に選ぶ必要があります」
さて、乗換を考えるとき、どのタイミングで行えばよいかについても、西村さんに聞きました。
「次年度の更新案内が満期の2~3ヵ月前に通知されるので、そのタイミングで乗換を検討するのがよいでしょう。更新案内には次年度の等級や契約者、車両の情報など、更新時の情報が反映されており、そこに記載された金額、補償内容をベースにして、比較・検討することができます。
満期ギリギリの時期ではじっくり検討することができませんし、万一、満期を過ぎてしまうと補償に空白期間が生まれてしまいます。自動車保険の乗換は、できるだけ余裕をもって行うようにしましょう。もしも満期日の当日になり更新をしていなかったという場合には、まずは契約中の保険会社に連絡することです。しかるべき対応をとってくれるかと思います。更新せずに満期を過ぎた場合、運転する前に早急に保険会社に連絡をしましょう。
満期を過ぎた場合には、補償が受けられないのはもちろん、メリット等級※が消失して割引率がなくなり、次に自動車保険に加入する際の保険料が満期前に比べて割高となってしまいます。
※自動車保険の等級制度において、割引が適用される6~20等級を「メリット等級」といいます。
なお、自動車保険は1年ごとの契約のため、途中解約しても保険料は日割り計算では戻りませんし、手続き上の手間も増えます。さらに満期の前に乗り換えて、保険の始期日を前の契約の更新日よりも早めてしまうと、乗り換え先の始期日から1年がたたないと等級があがらず、割引が適用されないため、更新時以外の乗り換えはあまりおすすめしません。ただし『保険期間通算特則』のある保険会社であれば、保険期間を通算して1年と見ることも可能です。どうしても契約の途中で変える場合は、移行先の保険会社に確認しましょう」
更新案内を見逃していて、満期を過ぎてから乗り換えると6等級からやり直しになることも。
では補償内容の見直しを考える際にはどんなところに注意して、自動車保険を選べばいいのでしょうか?
「被保険者である家族、そして家族を取り巻く環境の変化が、自動車保険の補償内容を見直す際のポイントのひとつです。年齢が上がったという場合以外にも、子どもが運転免許を取得した、父親が運転免許を返納した、車を廃車にしたなど、そうした変化に対応して、補償内容の見直しを行うのがよいでしょう。もし見直さずに、そのままにしておくと、必要な補償を受けられない一方で、無駄な保険料を支払い続けることになりかねません。
まず更新の案内が届いたら、その情報をもとに、家族や環境の変化をふまえながら、補償内容に関して現在のプランより充実したプラン、さらに他の保険会社のプランを比較・検討してください。
補償内容の比較・検討には、自動車保険の一括見積サイトや各保険会社のサイトで見積もりを取ることが可能です。ただ、慣れていない人は具体的な補償内容を把握するのが難しいかもしれません。そうした場合には、対面型(対面販売型)の保険会社なら代理店の担当者に、通販型(ダイレクト型)の保険会社ならコールセンターに直接連絡をし、こちらの環境や要望、条件などを伝えて、相談することをおすすめします。保険証券を手元に用意して、わからないことを聞けば、丁寧に説明してくれるので是非活用してください」
とはいえ自動車保険を乗り換えたくてもきっと簡単にはいかないのでは。実際の手順についてはどうでしょうか。
「保険会社・プランが決定してしまえば複雑というほどではありません。比較・検討後、対面型(対面販売型)ならお住まいの近くの代理店から、通販型(ダイレクト型)ならWeb上から直接申し込みます。保険会社から書類がお手元に届き次第、記入などの手続きを進め、保険料を支払います。申し込み書類に不備などがあった場合には、あらためて連絡があるため、対応が必要になるでしょう。
やがて、保険会社から新しい保険証券が届くので、それをお手元で保管・管理していただければ完了です。現在加入している保険会社への連絡は特に必要はありませんが、自動継続特約がついている場合には解約手続きが必要です」
自動車保険の乗換には、どんな書類が必要なのでしょうか?
「見積の段階で用意するのは、現在の保険証券、次年度の更新案内。車検証の他、生年月日を記載する欄があるので、ご自身と運転する同居家族の運転免許証もそろえておくと、スムーズに作業が進められるでしょう。
契約時には、対面型(対面販売型)では、保険会社から送られてきた契約書に必要事項を記入したもの、現在の保険会社の保険証券のコピー、車検証のコピー、運転免許証のコピーが必要になります。通販型(ダイレクト型)の場合は、保険会社によっては書類の提出が不要なケースがあります。
現在の保険証券を紛失したときには、基本的に保険証券を再発行してもらわなければなりません。ただし、場合によっては、更新の案内やそれ以前の保険証券のコピーで代用を認めてくれることもあります」
ところで、自動車保険の乗換をしても、それまでの等級は引き継げるのでしょうか?
「自動車保険を乗り換えても、一部共済を除けば、等級の引き継ぎは自動的に行われます。新しい保険会社では、前の保険の保険証券や更新案内で等級を確認でき、保険料もそれによって算出しています。
ただし、更新の案内が届いた後に事故を起こして、保険を使った場合には、新しい保険会社も把握できないため、あらためて申告し、正しい等級で保険をスタートしなければなりません。ちなみに、事故を起こしたことを隠して等級を引き継ごうとしても、保険会社間で情報を共有しているので、いずれ発覚することになり、その分追加で保険料を支払うことを求められます。新しい保険の契約者を配偶者や同居の親族にして、等級ダウンを避けようとしても、それは認められませんので注意が必要です」
フリーランスの立場から公正な情報を発信。大手損保、外資系や通販系保険会社とのネットワークを強みに「理解しやすい保険の記事」をモットーとしている。自動車保険、損保、証券などマネー分野での執筆、インタビュー多数。
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(掲載開始日:2019年4月24日)