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公開日:2025年3月27日
会社などに勤めていると、毎年必ず健康診断の時期がやってきます。健康診断で、体内の隠れた不調や病気の兆候、生活習慣病の可能性などが見つかることもあるため、結果をきちんと確認して、重大な病気の予防や早期発見・治療につなげましょう。
人間ドックも、健康診断と同じように体内に異常がないか判定するものですが、厳密にはそれぞれで受診できる内容や検査方法に違いがあります。この記事では、健康診断と人間ドックの違いをはじめ、詳しい検査内容や結果の見方などをわかりやすく解説します。また医師の監修にもとづいた、健康診断や人間ドックのオプションの選び方なども、あわせてご紹介していきます。
健康診断は、適切な健康管理に向けて、ご自身の体の状態を知るための基準となるものです。また健康診断と同様に、人間ドックも各検査を通じて健康管理を促すもので、どちらも目には見えない不調などを把握できます。ただし厳密には、以下のように取扱いが異なります。
健康診断では、おおよその身体の状態を知り、生活習慣病などの疾病を見つけたり防いだりする目的があります。おもに病気の予防や早期発見・治療に向け、内臓などの働きの異常や疾病を引き起こす危険因子がないかを調べます。
年齢や性別に応じて異なる部分もありますが、一般的には、身体計測(身長・体重・視力・聴力など)、血液検査・血圧検査、尿検査、胸部X線検査、心電図測定、問診などを実施します。
一般的な定期健康診断の項目は、以下のとおりです。
健康診断のおもな検査項目
会社などに勤めている場合、年1回は必ず健康診断を受けます。どのような事業者にも、従業員の雇い入れ時や雇用期間中には、健康診断を実施する義務があるためです。これは法律上の規定で、労働者側にも健康診断の受診義務があります。通常は勤務先から健康診断の案内が来るので、必ず受けましょう。
ちなみに入社時と雇用期間中の健康診断では、内容が異なるケースもあります。雇用期間中の健康診断では、医師の判断により、年齢などに応じて身長・腹囲の測定や胸部X線検査など一部項目が省略されることもあります。
自営業やフリーランスの場合、雇用労働者ではないため、健康診断の受診義務はありません。ただし国民健康保険の加入者は、自治体による健康診断を受けられます。自治体にもよりますが、無料または一定の料金で健康診断を受診できます。
人間ドックは、個人の自由診療で受診できる検査で、20歳以上なら誰でも受けられます。
健康診断との大きな違いは、各検査項目が詳細かつ多種類になる点で、人間ドックではより詳しく全身の状態を調べられます。健康診断にはない検査や、脳疾患、がんなどの病気を特定する検診項目など、医療機関ごとに幅広いプログラムがあるのも特徴です。
人間ドックのおもな検査項目
健康診断と人間ドックでは、以下のように受診の法的義務と検査項目の種類に大きな違いがあります。
健康診断と人間ドックの違い
健康診断 | 人間ドック | |
---|---|---|
概要 | おおよその体の状態や機能を検査して調べる | あらゆる角度から詳しく全身の具合を検査して調べる |
目的 | 生活習慣病を中心とした疾病の予防や早期発見・治療 |
|
検査の項目数 | 11項目(法定検査) | 50項目以上※1 |
自己負担費用 | 一般的には勤務先または健保が負担(一部自己負担の場合あり) | 原則は自己負担 (勤務先などによっては補助あり) |
検査結果 | 後日の書類送付のみ | 当日に医師からの説明・指導を受けられるのが通常 |
法的義務の有無 | 勤務先による実施義務、および労働者の受診義務あり | とくになし (個人の任意受診) |
では実際に、健康診断と人間ドックの検査項目にはどのようなものがあるのか、具体的な種類もみてみましょう。
健康診断と人間ドックでは、受診の法的義務と検査項目の種類に大きな違いがある
前述のように会社などに勤めている場合、年1回は以下の検査項目の受診が義務付けられます。
健康診断で実施する検査内容(法定検査)
健康診断の検査項目 | 検査内容 | |
---|---|---|
問診 | 既往歴、業務歴の調査 | 今までの疾病や主要業務に関する、医師による問診。 |
自覚症状、他覚症状(所見)の有無の検査 | 気になる症状や生活習慣など、健康状態に関わる医師による問診。 | |
身体計測 | 身長、体重、腹囲、および視力、聴力の測定 |
|
胸部X線、および喀痰検査 |
|
|
血圧測定 | 上腕部に測定器を装着し、収縮期血圧(最高血圧)と拡張期血圧(最低血圧)を測定して、血液の流れ方を検査。 | |
血液検査 | 貧血検査(Hb、RBC) | 血液を採取し、血中のヘモグロビン濃度と赤血球数の数値をもとに貧血または貧血の度合いを検査。 |
肝機能検査(GOT、GPT、γ-GPT) | 血液を採取し、肝臓に含まれる酵素(GOT、GPT、γ-GPT)の血中濃度を測定して、肝機能の異常や疾病を検査。 | |
血中脂質検査(TG、HDL-cho、LDL-cho) | 血液を採取し、血中のコレステロール値や脂肪の量を測定して、脂質やホルモンに関わる疾病や異常を検査。 | |
血糖検査 | 血液を採取し、血中のブドウ糖濃度を測定して、糖尿病の可能性やリスクを検査。 | |
尿検査(糖、タンパク) | 尿を採取し、尿中のタンパク質や糖の数値を測定して、腎臓の疾病や異常、糖尿病のリスクを検査。 | |
心電図検査(安静時) | 心臓の働きにともなう電流を測定し、その記録をもとに正常な動きができているか判定。 |
人間ドックは、一般的に50種類以上もの検査項目があり、医療機関ごとに内容も異なります。健康診断では実施されない検査も多く、たとえば血液検査なら、がんの有無などが調べられる腫瘍マーカーがおこなわれるケースもあります。そのほかに代表的なのは、胃のバリウム検査、胃腸の内視鏡検査、脳や胸腹部のCT・MRI検査、心臓や腹部の超音波(エコー検査)など。気になる症状や体の部位などにあわせて、オプション追加による詳細検査も可能です。
健康診断に比べて、人間ドックでは検査項目が多くなり、発見が難しい病気を見つけられるケースも。検査項目が増える分、時間もかかりやすくなり、日帰りだけでなく宿泊となる場合もあります。
健康診断で異常がない場合も、人間ドックを受ける価値があります。会社の健康診断は法令で定められた基本的な項目(既述の血圧、胸部X線、血液検査など)に限られるため、健康状態を把握するには十分ではない場合もあるでしょう。
一方で、人間ドックには胃カメラや腹部エコーなど精密な検査が含まれ、生活習慣病やがんのリスク因子を早期発見しやすくなります。また、検査項目も個別のニーズに合わせて選べます。従って、年齢、性別、家族歴(本人とその近親者の健康(病気)情報の記録)やライフスタイルに応じた健康管理や疾病予防、早期の病気発見において、人間ドックを検討することは有意義だといえるでしょう。
実際に検査した結果から現時点の体のリスクを把握するためにも、健康診断後に受け取る結果表全体の確認方法も知っておく必要があります。
健康診断結果のイメージ
健康診断の結果表では、検査項目ごとに「基準値」と呼ばれるデータが記されます。この基準値は、健康とされる20歳~60歳くらいまでの検査成績のうち、およそ中央値にあたる検査数値を指します。健康な成人の検査結果の数値を集計し、その上限と下限の2.5%を除いた、ちょうど中間あたりの95%が該当する検査成績を健康診断の基準値としています。
基本的には検査項目ごとの基準値と照らし合わせて、その範囲内なら正常と判断されます。なお基準値から大きく離れていると、より精密な検査が必要な場合も。また基準値の範囲内でも安心というわけではなく、ほかの検査項目との関連性なども含めた総合的な判断が重要です。あくまで基準値は参考として、きちんと医師による指示にしたがいましょう。
健康診断の結果表では、同じ分類の検査項目をまとめたカテゴリーごとに、正常または異常のレベルを示す判定区分が記載されます。一般的にはA~Eの5つのアルファベットで、次のように表示されます。
健康診断における各判定の見方
判定区分 | 所見 | 事後指導 |
---|---|---|
A | 異常なし | (異常は認められませんでした) |
B | 軽度異常 | 軽度の異常はあるものの、とくに対処の必要なし。 |
C | 要再検査 生活改善 | 生活改善とともに経過観察。次回の再検査指示で要受診。 |
D | 要精密検査 治療 | 医療機関への受診が必要。医師の指示をもとに、精密検査または治療を実施。 |
E | 治療中 | (通院および治療を継続) |
C判定(二度目以降)やD判定の場合、健康診断の結果表を持参のうえで、各項目に応じた診療科や医療機関への受診が必要です。なお健康診断を受ける機関によって判定区分の表記が異なることもありますが、基本は上記の表のように記載されます。
健康診断の総合判定では、各検査項目の基準値との差や判定区分をトータルして、どのように健康維持すべきか、今後の行動や生活習慣の目安などが表示されます。
たとえば、異常が見られる検診項目の詳しい説明や、健康診断後の具体的な対応(経過観察、精密検査など)について記載されるのが一般的です。経過観察の期間や再検査の時期、精密検査や治療に向けた指導、日常生活上の注意点など、詳細に記されています。
今後の具体的な指針が示される、健康診断の結果表のなかでもとくに確認しておきたい部分です。
ここまで、健康診断結果表で記される基準値やアルファベットで示される判定区分、総合判定など、全体的な確認方法をみてきました。さらに検査項目ごとに何がわかるのか知っておくと、今後の健康対策にもつながりやすくなります。
身体計測では、おもに身長、体重、腹囲の数値を測定します。身長と体重からは肥満度、腹囲からは内臓脂肪量を調べて脂質関連の病気のリスクなどを判定します。
身長、体重、腹囲などのバランスにより注意すべき病気がみえてくる
健康診断では、身長と体重の測定をおこない、そのデータにもとづくBMIの数値も算出されるのが一般的です。
BMIとは、脂肪の蓄積数を示す国際基準でもある体格指数です。BMIは身長と体重の数値から計算できるほか、厚生労働省の「BMIチェックツール」※2からも算出できます。
BMI値から肥満傾向や栄養不足などのリスクを判断できるので、健康管理のために、ご自身のBMI値を把握しておきましょう。
BMIの数値ごとの判定区分は、以下のとおりです。
BMIの判定基準
参考:「e-ヘルスネット」(厚生労働省)をもとに当社作成
もっとも病気になりにくい理想の標準値は22.0で、25.0以上は肥満とされます。なお25.0以上では、次のような疾病リスクが高いとされます。
【BMIが高いとかかりやすい病気・疾患】
へその高さで床と水平になるように腰周りを一周したときの長さを腹囲とし、その数値から内臓脂肪の蓄積度を判定します。医療機関によっては、胸囲を含めて測定する場合もあります。
腹囲の基準値は男性85cm・女性90cm未満で、各範囲を超えると内臓脂肪型肥満と判定されます。内臓脂肪型肥満では、以下の病気になりやすい傾向がみられます。
【内臓脂肪型肥満でかかりやすい病気・疾患】
血圧は、血液が血管内を流れる際に内壁にかかる圧力を指します。血圧には、心臓から全身に血液が巡る動脈にかかる収縮期血圧(最高血圧)と、心臓に戻ってくる静脈にかかる拡張期血圧(最低血圧)の2種類があります。
それぞれで血管にかかる圧力には差があり、血圧測定では、収縮期血圧と拡張期血圧の各数値を測ります。
血圧は、高い状態になっても自覚症状がなく、放置されやすい
なお血圧は、診察にともなう緊張状態から、数値が変わるケースも見られます。そのため血圧の基準値は、医療機関での測定値(診察室血圧)と、自宅での測定値(家庭血圧)のそれぞれで異なる基準値が設定されており、その双方を総合的に判断しています。
診察室血圧は少なくとも2回測定します。収縮期血圧で140mmHg未満、拡張期血圧で90mmHg未満が正常とされています。家庭血圧の場合であれば、収縮期血圧で135mmHg未満、拡張期血圧で85mmHg未満が正常とされます。この範囲を超えて血圧が高いと、次の病気にかかりやすいとされています。
【血圧が高いとかかりやすい病気・疾患】
血液は全身には酸素や栄養を送り込んだり、体内の老廃物などを運んだりする重要な役割がありますが、血中に含まれる成分から体の状態を知ることが可能です。たとえば血液内の細胞・酵素・抗体などの量から、身体機能の異常や不調、疾患の可能性を判定できます。
貧血、肝臓の異常、糖尿病など血液検査からわかることは多い
血液検査ではおもに、血液成分量を示す「血液学検査」、血中の栄養素などを測る「生化学検査」、抗体などの免疫機能を調べる「免疫血清学検査」が実施されます。血液検査から判断できる代表的な検査項目には、次のものがあります。
赤血球内に存在する酸素などを運ぶヘモグロビン(血色素濃度・Hgb)の数値を測り、貧血の度合いを調べます。ヘモグロビンの基準値は、男性:13.7g/dL~16.8g/dL、女性:11.6g/dL~14.8g/dL。なおヘモグロビンの数値が正常範囲から外れると、以下の病気が疑われます。
【ヘモグロビン値が低いとかかりやすい病気・疾患】
【ヘモグロビン値が高いとかかりやすい病気・疾患】
肝臓に関連する、AST、ALT、γ-GTP、ALPといった酵素の血中濃度を測り、肝機能の働きを調べます。それぞれの酵素は次のように機能しています。
肝臓に関連する酵素
AST | タンパク質からアミノ酸を生成して代謝を促す肝細胞酵素。肝細胞に異常が出ると血中に流れ出て数値が増加。 |
---|---|
ALT | ASTと同じく代謝を促進する酵素で、肝臓に異常があると濃度が上昇。 |
γ-GTP | アルコールや薬剤などを分解する酵素で、肝機能がうまく働かないと多く血中へ排出。またアルコールや脂肪分の摂取量に応じて増加。 |
ALP | 肝臓が生成する消化液(胆汁)に含まれる酵素で、肝機能のほか、骨や甲状腺の異常時に濃度が上昇。 |
各酵素が基準値を超えると、次の病気が潜んでいる可能性があります。
【肝機能酵素値が高い場合に可能性を示唆される病気・疾患】
コレステロールは、細胞膜やホルモンなどの成分となる脂質の一種で、適切なバランスで血中に含まれることにより栄養素の吸収を助けます。なおコレステロールには、以下のような種類があります。
コルステロールの種類
総コレステロール(TC) | 血中にある全種類のコレステロールをまとめた総称で、過不足なく体内を巡って健康を維持する脂質。 |
---|---|
HDLコレステロール(善玉) | 血中にある余分なコレステロールを回収して血管を維持する脂質。 |
LDLコレステロール(悪玉) | コレステロールを全身へ巡らせる脂質で、過剰に分泌されると血管内に付着して蓄積。 |
中性脂肪 | 体のエネルギー源や体温保持などの役割を持ち、増えすぎるとほかのコレステロールの働きが悪化。 |
それぞれ正常な範囲から外れると、以下の病気や疾患になりやすい傾向がみられます。
【総コレステロール値、または中性脂肪値が低い場合の疾患】
【HDLコレステロール(善玉)値が低い場合の疾患】
【LDLコレステロール(悪玉)値、または中性脂肪値が高い場合の疾患】
血中にある糖分の数値を測定し、糖尿病などの疾患の可能性やリスクを調べます。血糖値の測定では、以下の検査をします。
血糖値の検査
空腹時血糖値 | 血中にあるブドウ糖(血糖)は、通常は食後のみ数値が上昇し、空腹時に基準値を超える場合には糖尿病が疑われます。空腹時血糖値の基準値は、73mg/dL~109mg/dLです。 |
---|---|
HbA1c(グリコヘモグロビン) | 高血糖の継続時に血中のブドウ糖とヘモグロビンが結合して生成される成分で、数値を測ることで血糖値が正常にコントロールされているか判定できます。HbA1cの基準値は4.9%~6.0%で、この範囲を超えると、血糖値の高い状態が続いていることが伺えます。 |
これらが基準値を超える場合、糖尿病以外にも、次の病気にかかりやすい危険性もあります。
【空腹時血糖値やHbA1c値が高い場合の疾患】
尿検査では、毒素や不要物などを体外に排出する腎機能を調べます。一般的には、タンパク・赤血球(潜血)・糖の3つの含有量を検査し、腎臓や尿路系などの異常を判定します。
尿検査で尿中の蛋白や糖を調べると腎臓や泌尿器に関わる病気の兆候がわかる
具体的には、次の症状が発見されるケースがあります。
【尿検査で発見されるおもな症状】
尿中のタンパク・赤血球(潜血)・糖の基準値は、「-」(マイナス)で表示され、「±」(プラスマイナス)、または「+」(プラス)以上になると異常値とされます。具体的な判定区分は医療機関ごとに異なりますが、たとえばタンパクと赤血球で双方ともに「要再検査」の場合、総合して「要精密検査・治療」となるケースもあります。
また尿の濃度を示す比重値は1.005~1.030、尿の性質(酸またはアルカリ)を表すpH値は4.5~7.5が基準範囲です。
なお尿検査で異常があると、次の病気が潜んでいる可能性があります。
【尿検査の異常時に疑われる病気・疾患】
聴覚機能の測定により、耳の器官の働きや病気を調べます。高音の1,000Hzと低音の4,000Hzの音を使って徐々に音圧(dB・デジベル)を上げ、聞こえ方を測ります。
聴力検査では左右の耳を別々に検査し、音を聞くための機能の働きをみる
1,000Hzと4,000Hzのどちらも、30dB以下が基準値です。30 dB以下で聞こえれば「異常なし」、35dBから聞こえるときには「要注意」、40dBを超えると「異常」と表示されます。総合的な結果として問題なく聞こえていれば「所見なし」、異常があれば「所見あり」とされます。
聴覚に異常があると、次の病気や疾患が疑われます。
【聴覚異常に疑われる病気・疾患】
検査表や専用機器を使って見え方を測定し、近視の度合いを調べます。
視力検査では対象となるものをどれだけ細部まで見分けられるかをチェックする
普段からコンタクトレンズやメガネをしている場合、装着した状態で検査を実施します。視力の基準値は1.0以上で、0.7~0.9だと「要注意」、0.6以下だと「異常(近視)」とされます。視力が基準値から外れて低いと、次の病気が疑われます。
【視力の低下で疑われる病気・疾患】
34歳以下で会社などに勤めている場合、労働安全衛生法による「定期健康診断(法定健診)」を受診する必要があります。こちらの費用は、勤務先が負担するルールです。
また医療保険各団体には40歳~74歳を対象とする、「特定健診(特定健康診査)」の実施義務があります。「特定健診」では通常の定期健診項目に加え、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の検査を受けます。
さらに最近では、全国健康保険協会(協会けんぽ)による、35歳~74歳を対象とした「生活習慣病予防健診」も実施。「生活習慣病予防健診」では、がん検診も含めた健康診断を受けられます。
大きく分けて、34歳以下・35歳以上・40歳以上の年齢ごとに、3パターンの健康診断が実施されます。なお35歳以上の「生活習慣病予防健診」や、40歳以上の「特定健診」は、基本的に費用は自己負担です。
とくに40歳以上では、生活習慣病前段階のメタボリックシンドローム予備軍の割合が急激に増え、発症リスクも高くなる傾向にあります。※3東京都職員共済組合の調査では、35歳以上から高血圧性疾患者が増えるとの結果も。※4こうした背景からも35歳を節目に、健診の種類にも注目して、健康に対する意識も高めていきましょう。
法定の定期健診との違いは、「胸部レントゲン検査」「便潜血反応検査」「胃部レントゲン検査(バリウム検査)」などによる、がん検診が実施される点です。おもに肺、胃、大腸などのがん検診を受けられます。
ちなみに厚生労働省の調べによると、5大がんの検診の受診率は、ほとんどが40%台にとどまっている状況です(2022年時点)。
がん検診の受診率(2022年)
参考:「がん検診の受診率の推移」(厚生労働省)をもとに当社作成
もっとも受診率が高い肺がん検診(男性)でも53.2%と、約半数はがん検診を受けていません。※5一方で国内の死因で一番多いのは、がんとされているのが現状。※6がんを患う可能性は誰にでもあるからこそ、早期発見や治療に向けた検診が重要です。
「生活習慣病予防健診(一般健診)」では、オプションで、肝炎ウイルス検査(HCV抗体検査 ・HBs抗原検査)の受診も可能。そのほかにも年齢に応じて、40歳と50歳では腹部エコーなどの付加検診、女性なら子宮頸がんや乳がんの検診も加えられます。
なお「生活習慣病予防健診(一般健診)」は、受診義務のある法定の定期健診と置き換えることができます。
「特定健診」の場合、法定の定期健診では省略されることもある、腹囲測定や血液検査(貧血・肝機能・血中脂質・血糖検査)が必須項目となります。
さらに前述の「生活習慣病予防健診(一般健診)」でも、40歳以上になると、70歳までの5の倍数の年齢で以下の付加健診を追加できます。
【40歳以降に追加できる付加検診】
婦人科検診は基本的に何歳でも受診できますが、厚生労働省の基準では、子宮頸がん検診は20歳以上、乳がん検診は40歳以上としています。
ちなみに婦人科系の検診率は、子宮頸がんで43.6%、乳がんで47.4%(2022年時点)。※7いずれも半数に満たない状況ですが、とくに乳がんは死亡率が高く、女性のがん死因の約25%を占めます(2022年時点)。※8婦人科がんは非常にリスクが高く、検診を通じた対策が重要です。
子宮頸がんと乳がん検診の受診率
参考:「がん検診の受診率の推移」(厚生労働省)をもとに当社作成
企業によっては、30代以上の女性社員などを対象に、法定の定期健診とセットになった「婦人生活習慣病健診」を実施するケースも。通常の検査項目に加え、乳房検査(超音波・マンモグラフィー)や子宮検査が受けられるメニューが用意される場合もあります。
また35歳からの「生活習慣病予防健診」では、40歳~74歳の偶数年齢の女性を対象に、問診・視診・触診や乳房エックス線検査による乳がん検診のオプションも追加できます。さらに「生活習慣病予防健診」では、20歳~38歳の偶数年齢の女性に限り、子宮頸がんの単独受診も可能。なお36歳~74歳の偶数年齢では、「生活習慣病予防健診(一般健診)」にプラスして、問診や細胞診による子宮頸がんの検診も受けられます。
健康診断は保険適用外の予防医療で、基本は自由診療の全額自己負担になります。ただし法定の定期健診は勤務先による費用負担が義務とされており、原則従業員が支払うことはありません。「生活習慣病予防健診」や「特定健診」などの場合も、勤務先からの案内での受診時には、会社から補助が出るケースもあります。
なおみずから健康診断の申込みをして、勤務先を通さず医療機関などで直接受診する際には、費用は全額自己負担となります。
また人間ドックは完全に個人の自由診療なので、費用は全額自己負担です。人間ドックの費用は、受診内容や医療機関などに応じて異なり、3~4万円程度や10万円・20万円を超えるコースなどもあります。
健康診断や人間ドックのオプション検査は、年齢や家族歴、生活習慣、持病に合わせて選ぶことが重要です。たとえば、既往歴や家族歴に高血圧があり、動脈硬化や脳卒中のリスクが気になる40歳以上の方には、頸動脈エコーが効果的です。また、胃がんリスクが気になる方には、胃カメラやピロリ菌検査がおすすめです。
喫煙習慣のある方は、肺がんリスクに備えて肺CTや呼吸機能検査が有効になるでしょう。さらに、女性には乳がん・子宮がん検診、男性には前立腺がん検査が推奨されます。自分のリスクに応じた検査を追加することで、健康診断の効果をより高めることができ、病気の早期発見にもつながるでしょう。
健康診断は、病気の早期発見・治療はもちろん、今後の疾病リスクを低減するものです。健康診断の時点ではさほど支障がなくても、何年も放置していると日常生活に大きく影響する危険性も。ゆくゆくは重大な病気につながり、大掛かりな治療が必要になる可能性もあります。
健診結果の判定で「要再検査」となった場合、3ヵ月後または6ヵ月後の受診が目安
将来を守る意味でも、健康診断で問題があるときには、なるべく早めに病院で受診しましょう。
健康診断の結果が良くなかった場合は、結果を冷静に確認し、どの項目に異常があるかを把握しましょう。産業医や健診断師の指示に従い、再検査や精密検査が必要な場合は、できるだけ早く受診することが重要です。
異常値が軽度の場合でも、生活習慣の改善を心がけましょう。たとえば、血圧やコレステロール値が高い場合は、塩分や脂質を控えた食事、定期的な運動、禁煙、節酒を意識すると効果的です。また、異常値についての相談ができる医師や保健師、管理栄養士と連携し、適切な健康管理を進める※9ことで、将来のリスクを減らし、健康維持につなげることができます。
正社員やそれに準ずる方には、職場の健診が毎年義務付けられており、体の不調や病気の兆候、生活習慣病のリスクを早期に発見するために役立ちます。一方で、個人の任意でおこなう人間ドックでは、胃カメラやエコー、腫瘍マーカーなどより詳細な検査が可能です。そのため、健康診断では見つかりにくい病気も早期発見できる場合があります。
検査結果では、基準値や判定区分にもとづき、再検査や生活改善が必要かなどを確認することができます。必要に応じて再検査や医師と相談をおこない、適切な健康管理をおこなうことが重要です。また、オプション検査は年齢や生活習慣、家族歴にあわせて追加することで、健康リスクの予防に役立つでしょう。
麻酔科医。浜松医科大学医学部卒業後、日本人医師で初めてシドニー大学医学部大学院「痛みマネジメント科」の修士号を取得。麻酔科医として勤務後、2022年にM&K産健を設立。現在は、健診医業務・嘱託産業医業務などを行うほか、健康に関する記事の執筆や監修などにも携わっている。
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税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、すべての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。
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