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公開日:2024年5月29日
2024年1月1日元日、能登半島地震が発生、甚大な被害が起こり多くの方々が被害を受けました。本記事は、この地震で被災した楽天グループ社員がそのとき何を思い、どのような経験をしたのか「その日」と「その後」について話をお聞きし、前編・中編・後編でお届けするものです。
インタビュー【前編】では、地震発生直後の避難や避難所生活でみえた課題を中心に、【中編】ではライフライン断絶後の生活から東京に戻るまでの道のりについて聞きました。
今回の【後編】では2回のインタビューからみえてきた、私たちにできる備えや知っておきたい知識についてご紹介します。
【インタビュー】楽天グループ社員に聞く 能登半島地震を体験した「その日、その後」
【前編】では、能登半島地震を体験した楽天グループ社員のAyanoさんのインタビューからみえてきたさまざまな課題をご紹介しました。そこでAyanoさんが語っていたことのひとつに「家族で日頃から備えておくことの大切さ」がありました。
地震などの災害は、家族がそろっているときに発生するとは限りません。防災用品などの備えだけでなく、家族同士がどう連絡をとり、どこで待ち合わせるのかなど、「家族の約束」を事前にしっかりと確認しておくことが大切なのだそうです。では、具体的にどのようなことを話し合っておけばよいのでしょうか?
以下では、日頃から家族で話し合っておいた方がよいと思われるおもな事項をご紹介します。
☐自宅や勤務先の災害リスクを確認する
自宅や勤務先の災害リスクをハザードマップなどで想定しましょう。
☐指定の避難場所・避難ルートを確認する
自治体などで指定されている避難場所を確認し、どの道を使って避難するのかをシミュレーションしておきましょう。
☐家族の待ち合わせ場所や時間を決める
どこで家族と待ち合わせるかを決めましょう。時間まで決めておくと、すれ違いや長時間待ち続ける、といったことを防げます。
☐家族との連絡方法を決める
「災害伝言ダイヤル」など、直接連絡がとれないときの家族との連絡方法を話し合いましょう。決めたことは緊急連絡カードなどで携帯を。
リスクによってどのような対策をすればよいかが変わってくるため、まずは自宅や勤務先にどんな災害リスクがあるのかを知ることが重要です。お住まいの自治体のホームページや国土交通省のハザードマップポータルサイトなどで、「防災マップ」や「ハザードマップ」を入手することができます。おもに市区町村などの自治体が作り、災害が想定されている場所を地図で色分けして示しています。
ハザードマップを使うと、自宅の場所の災害時の被害想定を把握することができます。洪水・土砂災害・高潮・津波のリスク情報とともに道路防災情報、土地の特徴・成り立ちなどが地図や写真に表示されます。
家族が別々の場所にいるときに地震や津波が発生した場合に備え、安全な場所がどこなのかについて話し合っておく必要があります。どの道を通って避難場所へ向かうのかがわかれば、災害時にお互いを探すとき、行き違いになることを防ぐことができるメリットもあります。
自宅周辺や勤務先周辺にある指定の避難場所※1や避難所※2などを確認したうえで、どの道を通って向かうのかを確認するとよいでしょう。
たとえば、自治体などが用意する防災マップをもとに避難場所や避難所を確認し、実際にそこまで歩いてみて、水路や側溝、ブロック塀などによる危険がないか確認してみるのもよいでしょう。
【危険な場所の例】
また、防災マップは印刷するなどして防災用品とあわせて用意しておくとよいでしょう。
家族がかならずしも、携帯電話やスマートフォンなどの連絡ツールを持っているとは限りません。とくに小さなお子さんの場合には、まだ自分の連絡ツールを持っていないケースもあるでしょう。どこに行けばよいのかがわからず、家族と会えないことがないように待ち合わせ場所や待ち合わせ時間をシミュレーションしてしっかり決めておきましょう。
なお、待ち合わせ場所や待ち合わせ時間はひとつに限定せず、複数用意しておくことがポイントです。
待ち合わせ場所と待ち合わせ時間の決め方の例
決める方法 | 例 | |
---|---|---|
待ち合わせ場所 | 指定された避難場所や避難所などを確認したうえで、第1候補、第2候補など複数の待ち合わせ場所を具体的に決める。 | 第1候補:「〇〇公園の広場の前」 第2候補:「△△小学校の鉄棒の前」など |
待ち合わせ時間 | 待ち合わせの時刻とともに、どのくらいの時間待つのかということも決める。 | 「午前11時から15分間、午後1時から15分間待ち合わせ場所にいる」など (暗いなかで待つことがないよう、できるだけ明るい時間を指定する。) |
災害時には、電話の回線がつながりにくくなり、連絡がとれなくなる場合があります。家族間で電話がつながらなくなった場合に、どのように安否確認するか話し合っておきましょう。
災害時に連絡を取るための緊急連絡先を確認したうえで、メモで用意しておいたりスマートフォンの連絡帳に登録しておいたりしましょう。
地震等の災害発生時には、音声通話が集中し、電話がつながりにくくなります。災害が起きて家族と連絡がとれないと不安が大きくなってしまいます。どのように連絡するか、あらかじめ家族で話し合っておきましょう。 災害ごとに使える連絡手段は変わるため、複数の手段を確保し、優先順位を決めておくことが大切です。
災害伝言ダイヤル171
声の災害用伝言板。固定電話や携帯電話で「171」にかけてご自身の安否などの伝言が録音できます。また、録音された伝言を確認することができます。
災害用伝言版(Web171)
インターネットの災害用伝言板。ご自身の安否などの伝言を100文字以内で登録すると家族などが閲覧できます。
web171を利用する
携帯各社の災害用伝言版
ご自身の安否などの伝言を携帯各社の伝言版に登録できます。登録された安否情報は家族などがインターネットを通じて確認することができます。
アプリやメール
電話が使用できない状況でも、インターネットは比較的使える環境が整いやすいため、日頃から家族グループなどを作っておきましょう。
災害Wi-Fi 00000JAPAN
災害時に携帯電話大手各社が垣根を超えて無料開放する、公衆無線LANサービス。利用時間や回数の制限などはありません。
公衆電話
公衆電話は災害時に通信規制を受けず優先的に扱われるため、携帯電話を含めた一般電話よりつながりやすくなっています。
とくに、災害用伝言ダイヤル「171」は、誰でも使いやすい便利なサービス。声だけで地震の安否を伝えることができるため、シニア世代の方にも利用しやすいでしょう。利用イメージは以下のとおりです。
災害用伝言ダイヤル「171」の利用イメージ
【中編】のインタビューの中で、Ayanoさんが「災害直後の連絡手段は公衆電話のみだった」と語っていたように、公衆電話は災害時にもつながりやすいといわれています。災害時の公衆電話は「災害時優先電話」となり、通信規制の対象外となるためです。また、電話回線を通じて電力供給されているため、停電時でも硬貨を利用すると平時と同様に利用できるとされています。
災害が起こったときには公衆電話を利用する場合に備えて10円硬貨や100円硬貨も事前に準備しておくとよいでしょう。
大規模な災害が発生した場合、倒壊や浸水等の危険がなければ、避難所ではなく自宅で生活する方法もあります。これを「在宅避難」といいます。昨今、各自治体は、可能であれば自宅で避難生活をすることをすすめています。
【前編】のインタビューではAyanoさんの自宅は倒壊を免れたことにより、自宅でトイレを利用したり、必要な物資を調達したりすることができたというお話がありました。避難所での慣れない集団生活や環境の変化は心身ともに負担が大きいものですが、在宅避難ができるとその負担を減らすことができます。また、ペットを飼っている場合には、ペットと一緒に過ごせることもメリットでしょう(ペットの避難については後述します)。
以下では、具体的に、在宅避難をするためにはどのような準備が必要か、また在宅避難するかどうか迷った場合のチェックポイントについてもご紹介します。
いざというときに在宅避難ができるようにするためには、日ごろから自宅の環境を整えておくことが大切です。過去の大地震では、多くの方が倒れてきた家具の下敷きになって亡くなったり、大ケガをしたりしました。大地震が発生したときには「家具は必ず倒れるもの」と考えて、転倒防止対策を講じ、長引く避難生活に備えて食料や水などを備蓄しておく必要があります。
在宅避難のために日ごろからできることは?
家の中の危険度をチェックして
安全にする
家具は転倒しないように、壁に固定するなどの対策をしておきましょう。
災害後に必要となる
グッズを準備する
ライフラインが止まっても生活できるよう水や非常食を備蓄しましょう。
普段から備蓄をしておく
(ローリングストック法)
普段の食品や日用品を少し多めに買い置きし、賞味期限順に消費し、消費した分を買い足しましょう。
在宅避難を判断するための情報は、自治体などからも出ています。お住まいの地域の自治体の情報などをまずはチェックしましょう。
<判断のポイント>
インタビュー【前編】では、地震発生から被災者それぞれの手元に支援物資が届くまでには3日間かかり、それまでは、支給された水500mlやビスケット、ご自身の限られた持ち物だけで過ごす必要があった、とAyanoさんが語っていました。日ごろから何を準備し、どう備えているかはとても大切であることがわかります。
ここでは、災害発生の初期段階から避難生活が長期化するまで、それぞれの段階に応じてどのようなものが必要になってくるのかを段階にわけてご紹介します。
【災害発生後、段階的に必要となるもの】
具体的にどのような備蓄をしておくべきかチェックしておきましょう。
普段から、バッグの中にも急場がしのげる必要最小限の防災グッズを携帯しておきましょう。外出中の災害で、家に帰ることができないといった場合も想定し、常備薬やばんそうこう、ミニライトやホイッスル、お菓子などの非常食も入っていると安心です。内閣府の「防災情報のページ」では具体的な持ち物として以下を紹介しています。
常に持ち歩くという前提になるため、それぞれの生活スタイルにあわせた方法を選ぶことが大切です。
たとえば、警視庁では、プラスチック製のボトルによる防災グッズの持ち運びの例として「防災ボトル」を紹介しています。「防災ボトル」は水に強く、中にいれているものが壊れたりつぶれたりしないことがメリット。防災用品をコンパクトに収納できるので日々の持ち運びにも便利です。
コンパクトに持ち運べる「災害ボトル」の例
出典:警視庁警備部災害対策課の情報をもとに作成
災害時にさっと持ち出してそのまま避難することを想定した必要最低限の備えとして「1次品」を用意しましょう。避難して1日目をしのぐための防災グッズをイメージします。防災用のベストなどを利用すれば、逃げるときに両手が使えて便利です。
「2次品」とは災害発生から3日間を生き抜くために必要なもの。避難後に安全を確認して自宅へ戻り、救援物資が届くまでの3日間~数日間を過ごすための防災用品です。
長引く避難生活をできるだけ快適にすごすためのものを「3次品」といいます。家族の1~2週間程度の食料や生活必需品で避難生活が長引いた場合にできるだけ快適に過ごすためのものです。自宅の食糧庫などに備蓄するイメージです。
大地震など災害の発生時は、公的な支援物資はすぐに届かず、お店にも人が殺到してすぐに商品が無くなってしまうことも考えられます。そのため、家庭で非常食等の防災グッズを備えることはとても重要です。
なお、これまで備蓄は3日分を目安に考えられてきましたが、非常に広い地域に甚大な被害が及ぶ可能性のある南海トラフ巨大地震では、「1週間以上の備蓄が望ましい」との指摘もあるようです。
3次品の内容は、普段から多めに買い置きしている食料や生活必需品をベースに、さらに非常食をプラスしていきましょう。食器や調理器具なども用意しますが、キャンプ用品を持っていれば、兼用するのもひとつの方法です。水は、ペットボトルのミネラルウォータのほかに、宅配水のストックや光触媒の効果で3年間水の交換が不要なポリタンクなども用意できるとよいでしょう。
また、避難生活が長引いた場合には、非常食だけで過ごすのは大変なので、家族が食べ慣れている食品(レトルト食品やパスタ等)も備えておくとよいかもしれません。普段食べている食品を少し多めに買い置きして、食べたらその分を買い足す「ローリングストック法」でうまく回していけば、常に一定量の食料を家に備蓄しておくことができます。
ローリングストック法で備蓄を切らさないようにする
インタビュー【中編】では能登半島地震で被災したAyanoさんが「自宅が倒壊した方がとても多かった」ということをお話していました。地震発生当初はその日を過ごすことで精一杯だったものの、「わが家は保険にはいっているのか」「保険証券が手元にない」といったことを時間の経過とともに考え始めたということでした。
地震保険とは、地震、噴火、また地震による津波を原因とする火災、損壊、埋没または流失による被害を補償するための保険です。日本は地震が多い国であり、大きな地震が発生すると家や家財が大きな被害を受ける可能性があります。大きな被害を受けてしまうと修理に多額の費用が必要になることもありますが、地震保険に加入していると、その費用の一部を保険金でカバーできます。ほかにも、保険金を以下のようなことに活用でき、地震後の生活再建がよりスムーズに早く進められるようになります。
地震保険はこんなことに使える
地震による被害は、火災保険では補償されません。地震保険で備える必要があります。地震保険は単独で加入することができず、必ず火災保険とセットで加入するものです(火災保険に加入していれば、保険期間の中途でも地震保険の追加契約が可能です)。
地震保険に入ると補償の対象になるケースの例
地震保険の契約においては、以下の点に留意しましょう。
自宅が地震の被害を受けて損壊してしまった場合、どのように保険料の請求手続きをすすめればよいのでしょうか?具体的にみていきましょう。
地震保険請求に備えて、保険証券のコピーなどを防災バッグなどにあらかじめ入れておきましょう。
地震保険の写真を撮る場合は、次の点に注意しましょう。
地震保険請求の際には、一般的には以下のような流れで手続きをおこないます。
地震が起きた時には、地震保険では損害の程度によって「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の認定をおこない、それぞれ地震保険金額の100%・60%・30%・5%が支払われます。
生命保険商品については、「地震、噴火または津波などの大規模災害」は免責事由に定められていることが一般的で、原則として生命保険の保険金や給付金は受け取ることができない、とされています。
しかし、これまで生命保険会社各社は、東日本大震災(2011年に発生)をはじめとする過去の大地震に対して、地震理由の保険事故(死亡、入院やケガなど)に対しても支払いをおこなう判断をしてきています。
自動車保険の車両保険では、台風や洪水、高潮などの自然災害による損害は補償されますが、地震・噴火またはこれらによる津波により被った損害に対しては補償されません。地震は一度に大きな損害を発生させる可能性があり、適切な保険料の設定が困難なためです。
ただし、保険会社によっては、地震・噴火・津波により自動車が全損となった場合に、一時金を支払う特約を付帯できることがあります。「車両全損一時金特約」※などと呼ばれるこの特約は、車が津波に流されて発見できなかったり、地震による火災で全焼したりした場合に保険金が支払われます。
また、地震によるカーポートの被害については、自動車保険ではなく地震保険の対象になります。地震保険では建物の主要構造部(基礎、柱、壁、屋根など)の損害状況に基づき保険金が支払われます。カーポートのみの損害では補償されませんので、注意しましょう。
カーポートの損害は地震保険の支払いの対象となる
地震などの大災害が起きてしまうと、さまざまな理由で働くことが難しい状態になり、収入が減ったり途絶えてしまったりするケースも考えられます。そのような場合に、個人で備えられる補償/保障として、所得補償保険や就労不能保険があります。
これらは、病気やケガによって各保険会社が定める「就労が困難」な状況が続いた場合に、給付金を受け取ることができる保険です。一般的に、どちらも地震・噴火またはこれらによる津波による傷害は補償/保障されませんが、「天災危険補償特約」などの特約が付帯されている場合には補償/保障の対象となります(なお、補償/保障内容については、保険商品ごとに異なります)。
万が一、大地震などの災害に見舞われたときには、保険証券を持ち出すことができなかったり、みつけることができなかったりすることもあるでしょう。保険証券が手元になくても、あるいは証券番号が分からなくても、保険会社での本人確認によって対応をしてもらうことができます。安心して、問い合わせを確実におこないましょう。
災害救助法の適用された地域、金融庁国民保護契約に基づく対応要請のあった地域であれば、生命保険協会または損害保険協会に問い合わせをすることでどの保険会社の保険に入っていたかの照会することができます。また、加入していた保険内容や保険会社がわからなかったり、手続きをどうすればよいかわからなかったりする場合でも、まずは相談をしてみるとよいでしょう。
災害時のペットの避難は、能登半島地震でも大きく報道されるテーマとなりました。インタビュー【中編】で、Ayanoさんが避難所のペット事情についてもお話していましたが、ペット連れの避難は、避難所によっても対応が異なります。日ごろからペットとの避難についてもできる準備はしっかりとおこない、万が一に備えましょう。
災害時にペットを守るためには、住まいの耐震強度の確認や補強、家具の固定など、まずは飼い主の身の安全のために備える必要があります。その上で、ペットを室内で飼っている場合にはケージを置くときには固定した家具のそばに配置したり、重量のある物がサークル内に落ちてきたりしないような配慮をしましょう。
屋外でペットを飼っている場合は、ペットがいる場所の安全確認(外塀やガラス窓の近くを避ける)やケージなどペットの避難場所(隠れ場所)の確保は大前提です。そのうえで、避難時には以下の対応をするようにしましょう。
出典:環境省「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」をもとに作成
これらがしっかりできると、万が一避難所などで避難することになった場合にも、他人への迷惑となる行動を防止するとともに、ペット自身のストレスも軽減することにつながります。
災害が発生すると、ペットを残して避難せざるを得ない状況となったり、ペットとはぐれてしまったりすることもあり得ます。保護された際にペットが飼い主のもとに戻れるようにするためにも、所有者明示をしておくようにしましょう。具体的には、首輪に迷子札をつけるとともに、マイクロチップを装着しておくことで首輪がとれてしまっても個体識別ができるようになります。
2022年6月より、ペットショップなどで販売される犬や猫へのマイクロチップの装着と情報登録が義務化されました。制度施行前から飼っている方で、マイクロチップが未装着のペットを飼っている飼い主さんはぜひ、装着を検討してみてはいかがでしょうか。
なお、マイクロチップ自体には、15桁の数字が記録されているだけで、飼い主の住所・電話番号などの情報は入っていないため、マイクロチップを装着した場合には、飼い主のデータと照合するためのデータベースへの登録が必要となります。また、マイクロチップでは位置情報の確認はできない、位置情報を確認する手段として、「AirTag※」などのGPS機能のある首輪を装着するなども検討できるでしょう。
GPS機能のある首輪をつけることでペットの位置情報が確認できる
在宅避難ではもちろんのこと、避難先でもペットの飼養に必要なものは、飼い主が用意する必要があります。避難指示などが出た場合に安全に避難場所まで避難できるように、リードやキャリーバッグなどの移動に必要な用品を準備しておくとともに、ライフラインの被害や避難生活に備え、ペットの飼養に必要な物資を備蓄し、必要な場合には持ち出せるようにしておきましょう。
備蓄品には優先順位を付け、優先度の高いものは避難時にすぐに持ち出せるようにし、人の避難用品とともに保管しておきます。なお、重い物、大きな物などは避難の妨げになるため、いったん避難した後で安全を確認してから持ち出せるように、屋外倉庫や駐車場など、保管場所も工夫しましょう。
出典:環境省「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」をもとに作成
環境省によると、5日〜7日分程度は必要とされていますが、長期化する避難生活に備えて、できれば3週間分くらいあると安心です。人間の備蓄品と同様に、ペットの備蓄についても「ローリングストック法」で備ええるとよいでしょう。普段与えているフードを多めに購入しておき、日常的に餌を与えて減った分を新たに購入して補充し、ストックを常に切らさないことが重要です。こうすることで賞味期限が切れてしまうことなく安心して備蓄できます。
ローリングストック法でペット用の備蓄も切らさないようにする
災害が起きて、避難指示などが出た場合に備え、飼い主の方はあらかじめ自治体の広報誌、ウェブサイトなどで住んでいる地域のハザードマップを確認し、被害想定を把握して以下の対策を講じておきましょう。
また、避難所にペットを連れて行く際の注意事項も、あらかじめ管轄の自治体に確認しておくとよいでしょう。自治体によっては、実際に家族でペットを連れて避難所へ行く訓練を実施しているところもあります。ペット同行の避難訓練に参加し、所要時間や危険な場所等をチェックしておくと、より安全に避難することができるでしょう。
出典:環境省「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」をもとに作成
2024年1月に甚大な被害をもたらした能登半島地震。この企画の【前編】【中編】では、被災者であるAyanoさんに、災害発生時にどのような困難に直面し、どうに考え、どう対応してきたのか実情をお聞きしてきました。
インタビューでは「津波から逃れるため避難する予定だった山が崩れてしまった」というトラブルに直面したことも語られましたが、大災害が起きるとかならずしもシミュレーション通りにはいかない、ということがよくわかります。
そこで【後編】では、Ayanoさんの体験をふまえながら、できるだけさまざまな状況を想定し、手段を何通りも検討していただくことを前提に私たちができる備え、本当に必要なものなどをご紹介しました。
ご家族や周りの方々と防災プランを検討する際には、「準備していたものが使えない」「想定していたことができない」といった可能性も視野にいれてぜひシミュレーションをしてみてください。少しずつでもいまからはじめていけば、万一のときの大きな助けになるでしょう。
【前編】地震発生直後の避難や避難所生活でみえたさまざまな課題とは?
【中編】ライフラインを失うとどうなる?大地震後の実情と今後の備え
(掲載開始日:2024年5月29日)
2024211-2405