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公開日:2024年12月10日
コロナ禍以降、リモートワークが急激に浸透してビジネスシーンでも幅広くオンライン化が進み、さまざまな仕事がデスクワークでも完結しやすくなった昨今。気付いたら「1日中座りっぱなしだった」と、ふと思い返す人もいるでしょう。実際に、1日あたりの座っている時間(座位時間)は、日本人が世界20ヵ国の中で一番長いといわれています。
ずっと同じ姿勢でいることで、「体が凝って痛い」など、なんとなく不調を感じている人もいるかもしれません。実は“座りすぎ”は、病気や死亡リスクにもつながりやすく、寿命にも影響するほど深刻な問題といわれます。そこで今回は、長時間の座りすぎによる危険性や、日常的に取り組める解消法などをわかりやすく解説します。
長く座りすぎていると、下半身がほぼ動かない状態が続くことから筋肉の代謝や血行が悪くなり、さまざまな病気の原因になります。
さらに厚生労働省によれば、日中の座位時間の長さは死亡率の増加につながるといわれています。1日の総座位時間が長くなるにつれて、死亡リスクが右肩上がりに高まる研究結果もみられています。
では実際に、座りすぎが体の寿命にどう影響を与えるのか、長時間の座位行動が引き起こす具体的な疾病をみていきましょう。おもに以下の症状や疾病が引き起こされる可能性があります。
【座りすぎによって起きる症状や疾病】
それぞれについて、詳しくみていきましょう。
長時間座っていると、下半身で血の流れが停滞してしまい、血管の周りに組織液が染み出て水分が溜まっていきます。これが、足のむくみのしくみです。また、下半身がむくむと、「足が痛い」という感じやしびれ感、足が重たい感じなどがでてきます。
エコノミークラス症候群(肺血栓塞栓症)は、飛行機やバスでの長時間移動で発症する病気として知られています。食事や水分を十分にとらなかったり狭い空間などで足を動かさなかったりする姿勢が続くことで、血行不良が起こり下半身の静脈中に血の塊ができ、それが肺の血管までたどり着いて詰まってしまう症状です。肺血栓塞栓症とも呼ばれており、肺から酸素を取り入れられなくなることで呼吸困難などを引き起こし、場合によっては死に至る可能性もあります。
座っている時間が長いと、そもそもカロリー消費が少なくなるため、肥満度は高まります。体を動かさない分、代謝が落ちてしまうため、脂肪の燃焼もしなくなるためです。
なおかつ座りっぱなしでは、血液中の糖分もカロリーとして消費されなくなり、血管の中をドロドロの砂糖水のような血液が流れる高血糖の状態になります。そしてこの高血糖が慢性化したのが、糖尿病です。
ちなみに糖尿病には、大きく分けてI型糖尿病とⅡ型糖尿病という分類があります。I型糖尿病は、おもに免疫機能の異常が原因となって発症するため、生活習慣とは関係なく突然発症するものです。一方でⅡ型糖尿病は、遺伝と生活習慣の影響から発症します。とくに生活習慣病とされるⅡ型糖尿病は、座りすぎの状態が深く関わっているともいわれており、運動習慣の有無に関係なくリスクが高いとされています。
座りっぱなしで運動不足になることで、高血圧につながる危険性もあります。運動をしないと血行が悪くなり、塩分も排出しにくくなるため、血圧が高くなりやすい状態となります。さらにずっと座った状態でいると、下半身が圧迫されて血流が停滞し、高血圧を引き起こしやすくなる一面もあります。
ふくらはぎは、第二の心臓とも呼ばれるほど、全身の血流にとって重要な部位です。ふくらはぎには下半身まで巡った血流を循環させて心臓に戻す役割があり、座りっぱなしで血行が悪くなると、うまく機能しなくなってしまいます。また、足を動かさないことでふくらはぎの筋肉が痩せてしまい、代謝も落ちてしまうため太ることにもつながります。生活習慣病の悪化から動脈硬化の進行、心臓病のリスクとなるのです。
また、エコノミークラス症候群、血栓塞栓症を起こすことで心不全といった心臓病を引き起こすこともあります。
アメリカの研究では、1日の総座位時間が多く、1回あたりの座りっぱなしが長く続く人ほど、がんによる死亡リスクが高いとのデータが発表されています。
なかでも大腸がんや乳がんは、座りすぎが関係している可能性が高いとされています。大腸がんの場合、座りっぱなしによって腸がむくみ、便秘になって腸内環境が荒れることが原因になりやすいともいわれています。また、乳がんの場合、運動不足や肥満や糖尿病などが発症リスクであることが報告されており、座りっぱなしが乳がんの発症へ影響がある可能性があります。
認知症とは、脳や体の病気などが原因となって、記憶力や判断力といった認知機能が低下し、生活に支障が生じてしまう疾病を指します。
この認知症も、長時間の座りすぎとの深い関係性が見られる症状のひとつです。座位時間が長いほど記憶に関連した脳の領域が薄くなっていく傾向があり、認知症の発症につながりやすいといわれています。
高齢になったら座りすぎを防止しつつ、みずから頭を使いながら何か活動する意識を持っておいたほうが、認知症のリスクは避けやすいのかもしれません。
1日の座位時間があまりに長すぎると、心身の負担にもつながりやすく、うつ病発症の原因にもなり得るため注意が必要です。具体的な座位時間でいえば、1日6時間未満と1日12時間以上で比べると、メンタルヘルス不良数は2倍以上に増加するという研究結果もあります。
なおメンタルヘルスのケア方法として効果的なのは、毎日続けやすい軽い運動です。運動をすることで、ストレス緩和やリラックス効果のあるホルモン分泌を促すといわれており、ほどよい疲労感は睡眠の質を高めることにも有効です。たとえば、ウォーキング・ジョギング・サイクリングなど、少し汗ばむくらいの運動を続けていくとメンタルヘルスの維持にもつながるでしょう。
ここまでに見てきたように、座りすぎには、さまざまなリスクが潜んでいます。とくに日本人は世界的に見ても座位時間が長いとの見解もあります。では日本人がいかに長時間座りっぱなしなのか、そしてその背景には何があるのか、以下で詳しく解説します。
下記の図は、世界20ヵ国における平日の座位時間を表したものです。日本人の座位時間は、20か国の中で一番長いことがわかります。
出典:厚生労働省「座位行動」をもとに作成
なお、厚生労働省によって実施された「平成25年国民健康・栄養調査」※1では、20歳以上の平日1日における総座位時間について、平均8時間以上と回答したのは全体の約35%。
以下の図ように、男女別にみてみると、男性で約38%、女性で約33%と、いずれにしても日本人成人の3分の1以上は長時間座りっぱなしの傾向にあります。
出典:厚生労働省「平成25年国民健康・栄養調査」、厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」をもとに作成
ちなみに同年の調査では、男女ともにとくに20代・30代において、運動習慣がある人の割合が低いとの結果も出ています。※1成人のなかでも比較的若年層で、体を動かす習慣を持てていない可能性があるとの見方もできます。
厚生労働省によれば、日本人全体の1日の平均的な総座位時間は、約5時間とされています。そのなかでも、1日8時間以上の座位行動におよぶ人の傾向として、以下のような特徴が挙げられています。※2
【1日8時間以上の座位行動におよぶ人の傾向】
上記の特徴から推測して、とくに過体重気味だと、運動が億劫になっている可能性はあるかもしれません。とくに最近では、動画やゲームなどのコンテンツが豊富にあります。余暇でも自宅で座って静かに過ごしやすい環境も、影響しているとみられています。
そのほかにも近年は在宅勤務も広まってきており、会社や外出先まで移動することもなく、デスクワークで座りすぎてしまうこともあるでしょう。さらに出社したとしても、会議やパソコンで事務作業をしている時間は、どうしても座りっぱなしになってしまいます。また仕事中の移動や通勤で車を使う人なら、その間もずっと座っていることになるなど、座位時間が長くなりやすい要素はいくつもあります。
このように日常生活上のさまざまなシーンで、座りすぎになる原因は幅広く考えられます。意識的に体を動かさないと、「いつもどこかしらが痛い」と感じたり、場合によっては寿命に関わる疾病につながったりするケースも想定されます。
現状では、座りすぎの明確な基準はありません。ただし厚生労働省によれば、1日の総座位時間8時間前後で死亡リスクが増加するとのデータもあり※3、1日の座りすぎの基準は、8時間前後が目安とみることもできるでしょう。1日あたり8時間を超えて座り続けないように、日頃からの対策ができるといいかもしれません。
なお、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(成人版)」※3では、座位時間・座位行動の取扱いについて、「座位行動(座りっぱなし)の時間が長くなりすぎないように注意する(立位困難な人も、じっとしている時間が長くなりすぎないよう、少しでも身体を動かす」とされています。
また世界保健機関(WHO)が制定する「身体活動および座位行動に関するガイドライン」※4でも、児童・成人・高齢者の各世代において、座りっぱなしのまま過ごす時間の減少を推奨しています。
ではここからは、近年さまざまな企業で導入されている取り組みや、日常生活に活用できる座りすぎ対策についてご紹介します。
座りすぎを減らして、心も体も健康に保つためには、意識的に立つようにしたり運動したりすることが大切です。実際に健康増進に向けて、たとえばスタンディングデスクや上下昇降デスクなど、立って事務作業ができる什器を取り入れている企業もあります。
ちなみにスタンディングデスクや上下昇降デスクとは、立ちの姿勢でパソコン操作ができるように、天板部分の高さを調整できるしくみになっています。こうした企業全体で座りっぱなし防止に努める動きが見られており、なかにはオフィスチェアをバランスボールに置き換えるなど、ユニークな取り組みをしている例も。アメリカや欧米諸国では、立ったり座ったり柔軟に変えられる働き方は、すでに広まっているスタイルでもあります。
そのほかにもスマートウォッチやアプリを使い、1日の活動量を確認しながらの座りすぎ防止を推奨する企業や自治体も出てきています。このように今や座りすぎは、社会問題としてとらえられており、さまざまな取り組みがおこなわれています。
当たり前ではありますが、日常生活で意識すべきなのは、やはり座りっぱなしにならないことです。実際に勤務中において、30分に1回ずつ立つ姿勢に変えると、脂肪蓄積につながる血糖値上昇の抑制などの効果がみられるとの研究結果も出ています。※5休憩も兼ねて、デスクワーク中に少し立ち上がってみるだけでも、座位行動の低減を促すことになります。
このようにちょっとした取り組みが、座りすぎ解消には有効です。たとえば日頃から実践できる対策として、次のような習慣を取り入れてみるのもいいでしょう。
【座りすぎ解消の対策例】
そのほかにも厚生労働省では、エコノミークラス症候群の防止に向けて、軽い体操やストレッチ運動の導入、十分な水分補給、飲酒や喫煙は控える、体を締め付けすぎない服装(ベルトなども緩めに)、座っている最中には、かかとの上げ下げやふくらはぎのマッサージをする、睡眠中は足の位置を高めにする、といった予防対策を提唱しています。※6
いずれも些細なことではありますが、こまめに続ける癖を付けていくと、小さな積み重ねが健康につながります。
「座りすぎ」は厚生労働省の「健康日本21(第三次)」にも組み込まれるなど、国として対策に取り組んでいる問題です。まずは、座りすぎが健康に影響を及ぼすことを認識し、座位行動が長時間にならないよう意識することが大切です。
最近では、ウェアラブルデバイスやパソコンでは座位行動が長くなることでアラームを設定するものも多くあります。そういったものを活用しながら、座位時間が長くなりすぎないように注意してみてください。
また、飛行機や車移動など、どうしても座位が長時間にわたる場合もあると思います。短期的な健康被害であるエコノミークラス症候群を予防するためには、水分をしっかりとること、座ったまま足を動かすなど、ふくらはぎを意識して動かすようにしてみてください。
仕事中はとくに時間を忘れて集中することもあり、ついつい座りっぱなしの同じ姿勢になりがちです。座りすぎは、肩や首の違和感、腰痛といった関節の不調だけでなく、代謝や血行が悪くなって健康被害につながる恐れもあります。場合によっては、エコノミークラス症候群や心臓病など、死に至る疾病を引き起こす可能性も。実際に座りすぎから、死亡率が高まる研究結果も出ており、とくに8時間を超えると急激にリスクは増加する傾向にあります。
こうした座りすぎを防ぐためには、日常生活のなかで定期的に立ち上がったり、体を動かしたりする意識を持つことが重要です。たとえば日用品の買い物は歩いて行くようにしたり、通勤になるべく徒歩の時間を取り入れたりしましょう。ちなみに厚生労働省が推奨する健康増進に向けた身体活動として、1日60分以上(1日8,000歩以上)の継続した運動がよいともされています。
できるだけ健康を維持するためには、座りすぎになりがちな生活習慣を見直して、座位時間が長くならないように注意することが大切です。ぜひ今回ご紹介した予防対策を参考に、なるべく座りすぎは避けて、心身ともに健やかな毎日を心がけてみてください。
都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科として在勤中。内科・循環器科での診察、治療に取り組む一方、産業医として企業の健康経営にも携わっている。総合内科専門医。循環器内科専門医。日本睡眠学会専門医。ビジョントレーニング指導者1級資格。 主婦と生活社「CHANTO」web媒体、東洋経済オンラインなどでの執筆・監修実績、健康機器のプロダクト監修実績もあり。
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