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公開日:2024年4月16日
児童手当は大切な家計の支えとなっている、という子育て世帯は少なくないのではないでしょうか。たとえば「子どもの将来のための貯金にしたい」「習い事や学費に充てたい」など、さまざまな使い道が考えられるでしょう。
定期的に決まった金額が支給される児童手当は、年間総額にすると、まとまった金額となります。ただし今までの制度では、保護者の収入にともなう支給制限もあり、児童手当をあまり受け取ることができない世帯もあったかもしれません。
しかし、2024年10月より児童手当の拡充がおこなわれ、これまでの所得制限が完全撤廃される見込みに。さらには高校生までの支給期間の延長や、子どもが3人以上の多子世帯に向けた特例強化など、児童手当のいくつかの規定が変わることとなりました。そこで今回は、児童手当の拡充にともなう変更点について、現行制度との違いをわかりやすく整理しながら解説していきます。
まずは児童手当の大まかな概要や、制度拡充に向けた具体的な動向からみていきましょう。
児童手当とは、子どもを育てている各家庭に対し、そのお子さんが一定の年齢になるまで、実際に養育をしている保護者に決まった金額を支給する制度です。子どもと生計をともにする世帯を対象に、児童手当を支給することで、より安定した暮らしと未来ある次世代の健全な成長を支える目的で制定されました。
現行の制度では、子育て世帯の経済的支援として、子どもの年齢や人数などに応じて支給内容が異なります。具体的な支給内容は、子ども1人あたり、3歳未満まで月1万5,000円、3歳以上~中学生(15歳になった後の最初の3月31日)まで月1万円が原則。3歳以上~小学校修了までの期間に限り、第3子以降になると月1万5,000円に支給額が上がります。※1
また現行の児童手当では、養育者の所得額によって、支給内容が異なる仕組みもあります。大きく分けて、「所得制限限度額未満」「所得制限限度額以上・上限限度額未満」「所得上限限度額以上」の3つの所得段階が設けられ、それぞれで受給できる児童手当の金額が変動します。
このうち「所得制限限度額以上・上限限度額未満」の段階になると、子どもの年齢や人数を問わず、児童1人あたりの支給額は下がります。さらに「所得上限限度額以上」の段階になると、児童手当の対象外として、そもそも支給がなくなる規定になっています。 ※1
このように子どもの年齢・人数・養育者の収入に応じて、細かなルール分けがされていたのが、これまでの児童手当の制度です。
近年は少子化が著しく進み、2022年の出生数は約77万人と、統計開始時の1899年から過去最低数を記録。1949年のピーク時には約270万人だった出生数が、3分の1以下まで落ち込んでいるのが現状です。
政府によると、このままの出生傾向では、2050年代に人口1億人を割り込む見込み。※2 時代の流れとともに、日本人口は右肩下がりに減少する危険性が高く、現状を打破する政策が必要とされています。
こうした急速な少子化を背景に、政府では2023年12月に「こども未来戦略」を制定。とくに2030年代に入る前の「加速化プラン」では、子育てに向けた経済的支援を強化する、さまざまな取り組みが実施されることが決まりました。そのひとつが、ここまでにみてきた「児童手当」の拡充です。※2
実際に2024年度では、前年比約1割増の子ども関連予算案を設定し、児童手当をはじめとした各種施策を推進する方針になっています。※3
具体的に、2024年10月からはじまる児童手当の拡充によって、何がどう変わるのか解説していきます。
出典:こども家庭庁「こども未来戦略~次元の異なる少子化対策の実現に向けて~(令和5年12月22日)」
※高校生とは「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者」としており、かならずしも高校に進学することは条件とされてはいません。
これまでの児童手当では、各世帯の主たる生計者の所得額に応じて、支給額の制限がされていました。おもな生計者の収入が一定額を超える場合は、子どもの年齢に関係なく、児童手当の支給額が下がる、または支給されなくなるルールが適用されています。※4 こういった所得制限は、2024年から実施される児童手当の拡充にともなってなくなる見込みです。各世帯の収入額に関係なく、子どもを養育するどの家庭にも児童手当を支給するのが、まずひとつの大きな変更点です。
なおかつ支給される年齢についても、変更があります。現行の児童手当は、中学校卒業(15歳になった後の最初の3月末)までが支給対象となっていました。しかし今後は子どもが高校生年代になるまで支給されるようになります(18歳になった後の最初の3月末)。※4
ちなみに具体的な支給額としては、第3子以降の例外はあるものの、基本的に現行の制度と似たようなイメージです。原則は3歳未満まで月1万5,000円、3歳以上から高校卒業まで月1万円が、子どものいる全世帯に支給されます。※4
また高校は、中学校と異なり、義務教育ではありません。なかには「高校ではなく専門学校に通う」「中学卒業後は、学校に行かず働く」といったケースもあるでしょう。そうなると児童手当が適用されるのか迷う部分かもしれませんが、現状ではあくまで「高校生の年代」を対象としています。
今のところ必ずしも高校生でなければならないルールはなく、保護者の監護のもと生計を同一にする子どもなら、児童手当は支給される見込みです。ただし「子どもが経済的・生活的に独立している」などの場合、児童手当の対象外になる可能性も。たとえば「中学卒業後に就職してひとり暮らしになった」など、高校生の年齢でも完全に自立ができている際には、児童手当の対象にならないことが予想されます。※5
現行の児童手当でも、第3子以降の場合、3歳以上から小学校修了までは月1万5,000円に支給額が上がる特例(多子加算)がありました。それが今回の児童手当の拡充にともない、0歳から高校生年代まで、第3子以降は全て月3万円まで増額されます。※4
また今までの特例(多子加算)対象となる第3子とは、高校卒業までの養育児童を含めた際に、3番目に数えられる子どもを指していました。たとえば3人きょうだいの家族で、仮に第1子が19歳になった場合、家庭内では第3子に数えられる3番目の子でも、児童手当上は第2子扱いになります。※6
この数え方についても、児童手当の拡充によって見直しがおこなわれ、第3子扱いにされる範囲が広がっています。制度改正後は、上の子が22歳になる年度末(大学生以外も含む)まで、児童手当上で数える子どもの順番として換算。つまり仮に3人きょうだいのうち第1子・2子が高校を卒業したとしても、いずれも22歳未満なら、第3子の増額に限っては変わらず継続されます(第1子・2子の児童手当は停止)。※4
今までの児童手当では、毎年6月・10月・2月の年3回の支給日が設定されていました。4ヵ月ごとに、前月までの児童手当(6月支給時なら同年2月~5月分)が支給される仕組みです。※6
この支給時期についても、児童手当の拡充後には変更され、「4ヵ月分ずつ年3回」の支給から、「2ヵ月分ずつ年6回」の支給になります。
具体的には、2024年10月分の児童手当から「2ヵ月分ずつ年6回」の支給が開始され制度改正後の初回支給は同年12月となります。
つまり改定後の2024年度の支給スケジュールとして、12月時点で10月~11月分の児童手当を受け取ることが可能になります。
このように2024年10月以降から、児童手当の支給回数が増えるので、給付金を活用するタイミングも取りやすくなるでしょう。※4現行の制度から児童手当をもらえる時期が2倍に増えます。
児童手当の支給日は?変更後の児童手当はいつ振り込まれるの?
児童手当の支給日は、現行制度では2月・6月・10月の年3回ですが、2024年10月分以降からは2月・4月・6月・8月・10月・12月の年6回になります。変更後の児童手当が初めて支給されるのは2024年12月(10月~11月分を支給)です。
現在、児童手当が「月5,000円のみ支給」「全く支給されていない」所得制限限度額・所得上限限度額世帯の場合はどう変わりますか?
2024年10月以降は、所得制限が撤廃される方針です。今まで「月5,000円のみ支給」「全く支給されていない」という世帯でも、2024年10月時点で子どもの年齢などの要件を満たしていれば、一般世帯と同じ金額(月1~3万円)を受給できます。
新制度の児童手当対象年齢の子どもが3人いたら、毎月最大いくらの児童手当を受け取ることができるの?
新制度では、子ども3人の家庭が受け取ることができる児童手当の最大額は「月6万円」となります。受け取ることができる金額は子どもの年齢に応じて決まりますが、たとえば2歳の双子+0歳の計3人なら「1人目:1万5,000円、2人目:1万5,000円、3人目:3万円」となり、最大額を受け取ることができます。
2024年10月以降の児童手当は、第3子以降の加算額が従来の1万5,000円→3万円に倍増する見込みです。
児童手当拡充に伴い、扶養控除見直しもおこなわれると聞きました。児童手当をもらっても実質マイナスになる可能性もある?
実質マイナスになる可能性はないとされています。児童手当を拡充する一方で、扶養控除は縮小しますが、どの家庭でも児童手当によるプラス分の方が大きくなるよう制度設計される見込みです。たとえば、年収400万円ほどの人なら「+9.2万円」になると試算されています。
2024年10月からの児童手当の拡充により、これまでは支給が制限されていた所得層も含めて、金銭的なサポートが受けられるようになります。とくに今までの所得制限では、保護者が父母の場合、どちらか高いほうの収入額が適用されていました。
たとえば共働きで双方の年収500万円の家庭と、生計者1人で年収1,000万円の家庭で比べた場合、それぞれ世帯全体の実質的な収入は似ていながら、児童手当の制限に差が出る面もありました。こうした不平等感が解消されると同時に、多子世帯に対する特例の強化や支給時期の増加も実施され、より手厚い支援を受けやすくなったのは大きなメリットでしょう。
さらに政府が掲げる「こども未来戦略」では、とくに2030年代に向けて強化する「加速化プラン」として、いくつもの子育て支援政策を制定しています。たとえば「出産育児一時金の引き上げ(50万円)」や、「出産・子育て応援交付金(10万円)の継続」などです。
そのほかにも大学進学にともなう授業料減免・奨学金の見直しや、子育て世帯に向けた住宅ローンの金利引き下げなど、あらゆる新制度が設けられます。医療・保育・高等教育といった面も含めて、今後はさらに子育てがしやすい環境が整備されていく方針。今回ピックアップした児童手当をはじめ、育児支援制度も活用して、より充実した子育てライフにしていきましょう。
ばばえりFP事務所代表。関西学院大学商学部を卒業後、銀行の窓口業務に従事。その後、保険代理店や不動産業界などでも経験を積み、独立。自身が過去に金銭的に苦労したことから、難しいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えするべく活動中。お金にまつわる解説記事の執筆や監修を数多く手掛けている。保有資格はAFP(日本FP協会認定)、証券外務員1種など。
(掲載開始日:2024年4月16日)
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