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公開日:2024年9月5日
子どもとの生活はトラブルの連続です。とくに、好奇心旺盛でやんちゃな子どもの親御さんは「ものを壊さないかな」とハラハラすることも多いのではないでしょうか?
もし他人にケガをさせたり他人のものに損害を与えたりしてしまったら、たとえわざとではなくても高額な賠償責任を負う可能性があります。また、子どもが起こしてしまった事故については、親の責任もあわせて考える必要があります。
そこで検討しておきたいのが『個人賠償責任保険』です。子どもが起こしてしまった万が一のトラブルのときに、保険でどのようにカバーできるのかを知り、もしものときに備えておくと安心です。
子どもの日常生活にはトラブルがつきものです。トラブルの程度によっては、謝罪することで解決することもあるでしょう。しかし誰かに損害を与えた場合、謝罪だけでは解決できないケースも多々想定されます。たとえば、他人にケガをさせてしまったり、誰かのものを壊したりした場合には法律上の損害賠償責任を負うこともあり、その際は謝罪だけでなく、金銭による補償を賠償金として支払うことにより解決を図る必要がでてくることがあります。
そういった子どもの賠償責任リスクは、おもに「他人のものを壊す」「他人にケガをさせる」の2パターンです。とくにケガについては、高額な損害賠償額が発生する可能性があります。過去には、小学5年生の児童が自転車事故を起こし、約9,500万円の補償を命じられたケースもあります。
では子どもの周りにはどんな賠償責任リスクがあるのでしょうか?具体的な例をご紹介します。
お店の商品を触って壊してしまったり、食器などを割ってしまったりするケースです。“ついうっかり”でも、高価なものだと大きな損害につながるので要注意です。
遊んでいて、お友だちのものを壊してしまうケースです。おもちゃだけでなく、ソファやテーブルなどの家財道具にキズをつけるリスクもあります。
高額な損害賠償につながりやすいのが、自転車による事故です。『一般社団法人 日本損害保険協会』によると、自転車事故はおよそ7.5分に1件の割合で発生しています※1 。さらに通学などで自転車の利用が増加することもあり、13~18歳の自転車利用者が事故を起こしやすい傾向にあります。子どもの自転車事故は予想以上に多いということを忘れずにいましょう。
「サッカーのボールがぶつかって、お友だちにケガをさせた」などのケースです。相手のケガの程度によっては、やはり高額な損害賠償が発生する可能性があります。
たとえ子どもが誤って起こしたことでも、誰かにケガをさせた場合などはより責任が大きくなり、損害賠償額が高額になる可能性もあります。とくに自転車での事故では、賠償額が1億円近くにも及んだ事例があります。
判決認容額 ※2 |
事故の概要 |
---|---|
9,521万円 | 11歳の小学生が夜間帰宅途中、自転車で女性に衝突。女性は頭蓋骨骨折などの傷害を負い、意識が戻らない状態となった。 (神戸地方裁判所、2013年7月4日判決)。 |
9,330万円 | 高校生が夜間イヤホンで音楽を聞きながら無灯火で自転車を運転中に、パトカーの追跡から逃走し、職務質問中の警察官と衝突。警察官は頭蓋骨骨折などで約2ヵ月後に死亡した。 (高松高等裁判所、2020年7月22日判決)。 |
9,266万円 | 高校生が自転車で車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた男性と衝突。男性に言語機能喪失などの重大な障害が残った。 (東京地方裁判所、2008年6月5日判決)。 |
ちなみに学校で子どもがほかの生徒にケガをさせてしまった場合はどうなるのでしょうか?通常、学校や幼稚園、保育所などは『独立行政法人日本スポーツ振興センター』の災害共済給付制度に加入しています。授業中や登下校中など学校の管理下での事故については、同センターから被害生徒に対し、災害共済給付金(医療費、障害見舞金または死亡見舞金)が支給されます。
しかし災害共済給付金では、発生した損害を全てカバーできるとは限りません。たとえば医療費は医療保険での治療を対象としているので、市販薬の購入費や通院による交通費などは支払われません。また精神的苦痛に対する慰謝料も支給対象外です。物的な損害も対象外なので、事故の際に服や持ちものが破損しても支給されません。
そういった災害共済給付金ではカバーしきれない部分に関して、被害を受けた生徒側は加害者側へ損害賠償を請求する権利があります。
「お友だちにケガをさせた」「ものを破損した」といった、子どもによるトラブルに備えるために一般的なのが『個人賠償責任保険』です。火災保険や自動車保険などの特約でつけることができて、示談交渉サービスがついているものもあるので、もしものときに備えて加入しておくと安心です。
まずは「個人賠償責任保険って何?」という基本と、負った賠償責任に対して補償対象になるケースと補償対象にならないケースをご紹介します。
個人賠償責任保険とは、日常生活で他人にケガをさせたり他人のものを壊してしまったりした際に、負担した損害賠償金などを補償する保険です。補償の対象になるのは保険証券に記載された記名被保険者と、その家族です。自転車で誰かにケガをさせてしまった場合も補償の対象となります。
契約は単体でもできますが、多くの方は保険の特約※3として契約しています。個人賠償責任特約をつけられる保険には、おもに以下のものがあります。
【個人賠償責任特約がつけられる保険】
保険の特約以外にも、クレジットカードの付帯サービスとして無料または有料で加入できるものもあります。
自転車保険は、個人賠償責任保険または個人賠償責任特約と、傷害保険が組み合わさった保険です。相手への損害賠償と、自分自身や家族のケガもカバーしてくれます。しかし自転車事故などによる交通事故で人やものに損害を与えたときに補償する商品と、自転車などによる交通事故に加え日常生活の事故やトラブルまでカバーしてくれる商品があるので、補償内容をよく確認しましょう。
個人賠償責任保険のなかには示談交渉サービスがついている商品もあります。示談交渉サービスとは、保険会社が本人に代わって、相手方や相手方の保険会社と交渉してくれるサービスです。万が一の事故やトラブルの際、解決までスムーズに進めることができます。
個人賠償責任保険は、さまざまな保険で特約として加入することができます。そのため、すでに加入しているのを忘れて重複して加入してしまうケースがあります。
また、ひとつの契約で家族全員が補償を受けられる特徴があります。そのため、ご自身だけでなく、家族が別の保険に個人賠償責任特約をつけていて、補償が重複する場合もあります。一度家族それぞれの保険をチェックしてみましょう。
子どもがものを壊してしまった場合、火災保険や少額短期保険などで補償できる可能性があります。ご自身や家族のものを壊したときは「破損・汚損」に関する特約、他人のものを壊したときは「個人賠償責任」に関する特約が付いているか確認しましょう。たとえば子どもが投げたボールが当たって自宅のテレビが割れた場合は「破損・汚損」、他人の家の窓ガラスに当たって割れた場合は「個人賠償責任」の特約の補償対象になる可能性が高いです。
加入中の保険内容は、保険証券や保険会社の契約者専用サイトなどで確認できます。判断が難しいときは、保険会社のコールセンターなどに問い合わせてみるのもおすすめです。
個人賠償責任保険の被保険者(補償の対象者)は、基本的に「生計を共にする同居の親族」です。もし父親が契約した場合、その妻や子どもが起こした事故も補償されます。また同居していなくても、未婚の子どもであれば対象になります。たとえば一人暮らしをしていて親から仕送りを受けている学生などです。
【個人賠償責任保険の被保険者の例】
ただし保険商品のなかには、生計を共にしている・いないにかかわらず「同居の親族」または「別居で未婚の子」であれば補償の対象となるものもあります。
個人賠償責任保険では、以下のようなケースが補償の対象になります。ポイントは「日常生活で」「誤って」他人にケガをさせてしまったり、他人のものを壊したりしてしまったという点です。
【個人賠償責任保険の補償の対象になるケース】
何気ない日常生活でも、子どもはさまざまなトラブルを起こすことがあります。個人賠償責任保険に加入しておけば、万が一の損害賠償リスクに備えることができ、安心して毎日を過ごすことができるでしょう。
個人賠償責任保険に加入していても、保険金が支払われないこともあります。いくつかのケースをご紹介します。
〈ケース①〉のアルバイトは仕事中とみなされ、日常生活の事故とは認められません。
〈ケース②〉のケンカは「故意の暴力」となり、たとえ相手に重大なケガをさせてしまっても補償されないので注意しましょう※4 。
また損害賠償責任保険は、他人に対しての損害を補償するものですので、〈ケース③〉のような同居の親族に対する損害も補償対象外となります。
子どもがお友だちのゲーム機を壊した場合、個人賠償責任保険の補償の対象になる可能性があります。
ただし、個人賠償責任保険には「他人から借りたものや預かったもの(受託物)への損害」や「わざと(故意に)壊した場合の損害」などは対象にならないという原則があります。さらにややこしいことに、同じ「個人賠償責任保険」という名称でも保険会社によって内容が異なる場合があり、借りたものや預かったものの補償も可能な場合があります。
状況次第で対象になるケースとならないケースのどちらも考えられるので、まずは加入している(加入を検討している)個人賠償責任保険の内容を確認する、わからないときは保険会社に問い合わせるなどして対応するようにしましょう。
実際に子どもがトラブルを起こしたら、どう対応したらいいか悩む方も多いでしょう。損害賠償も心配ですが、子どもが誰かに損害を与えたら、まずは謝罪をすることが大切です。
また「親も法的責任を問われるの?」いう点も気になるポイントでしょう。その点については、子どもの年齢や責任能力の有無などによって変わってきます。順番に詳しくみていきましょう。
子どもがトラブルを起こした場合、親の責任を問われるケースもあります。どんなときに親の責任が発生するか、詳しくご説明します。
子どもが未成年の場合、責任能力の有無がポイントとなります。責任能力とは「自分の行為によって、どのような結果になるか」を理解する能力です。これまでの裁判例などから、子どもに責任能力が身につくのは12歳前後と考えられています。
子の責任能力の有無 | 親の責任の有無 |
---|---|
責任能力がない場合 | 「子どもに責任能力がない」と判断されたら、子ども自身は賠償責任を問われません。その代わり、十分な監督義務を果たしていたと証明しない限り、親が賠償責任を負うことになります。 |
責任能力がある場合 | 子どもに責任能力がある場合は、子ども本人が賠償責任を負います。しかし多額の賠償金が発生した場合、子どもが支払うのは難しいのが現実かと思われます。その場合は親が代わりに支払うという家庭もあるでしょう。 また子どもの不法行為による結果と、親の監督義務違反との間に相当な因果関係があると判断された場合、親にも不法行為の責任が生じて賠償責任を負う可能性があります。 |
〈民法712条〉
未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。
子どもが成人している場合は、親が法的責任を負うことはありません。もし誰かに損害を与えて損害賠償が発生した場合は、子ども自身が被害者に賠償することになります。
子どもに責任能力があったとしても、親が監督義務を怠ったと判断されれば、親自身にも不法行為が成立し、損害賠償を負うことになります。
たとえば親が日頃から子どもの行動を把握しておらず、問題行動に気づかなかった場合などです。また子どもに非行傾向があったのにもかかわらず、適切な行動確認や教育をしなかった場合なども、監督義務を怠ったとみなされます。
子どもが他人を傷付けたり他人のものを壊したりした場合、法律上の損害賠償責任を負う可能性があります。過去には子どもが起こした自転車事故で1億円近い賠償命令が出た例もあります。
子どもがトラブルを起こした場合、すぐに謝罪に行くことが大切です。さらに、子ども本人や家族、そして被害者を守るため、もしもに備えてあらかじめ個人賠償責任保険に加入しておくのもひとつの方法です。
個人賠償責任保険は、火災保険や自動車保険に特約として付いている場合もあります。また、誰かひとりが加入していれば家族全員が補償対象になります。まずは加入中の保険の内容を確認してみてはいかがでしょうか。
ばばえりFP事務所代表。関西学院大学商学部を卒業後、銀行の窓口業務に従事。その後、保険代理店や不動産業界などでも経験を積み、独立。自身が過去に金銭的に苦労したことから、難しいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えするべく活動中。お金にまつわる解説記事の執筆や監修を数多く手掛けている。保有資格はAFP(日本FP協会認定)、証券外務員1種など。
(掲載開始日:2024年9月5日)
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