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公開日:2024年9月12日
国民年金は、20歳を迎えた全員に納付義務があるものです。20歳というと、「まだ学生で収入がない」などのケースもあり、支払いが難しい人もいるかもしれません。こうした場合には、国民年金の納付免除や猶予をおこなうこともできますが、そうすると未納期間が生じてしまう点には注意が必要です。未納分をそのままにしておくと、将来的にさまざまなデメリットにもつながります。そこで今回は、国民年金未払い時のリスクをはじめ、未納がある際に追納するメリットや追納期限・方法などをわかりやすく解説します。
国民年金とは、老齢や障害などにともなう生活を国民同士で支え合う社会保障制度で、日本在住の20歳以上60歳未満の全員が加入する仕組みです。たとえば親の扶養に入っている学生でも、20歳以上になれば必ず加入して、一定額の保険料を国に納付しなければなりません。
年金と聞くと老後の保障というイメージがあるかもしれませんが、60歳未満の場合でも、国民年金によって保障されることがあります。具体的には、病気やケガで障害状態になった際の「障害年金」※1 と、生計を維持していた人が死亡した際の「遺族年金」※2です。このように国民年金は老後に限らず、現役世代にとっても万が一の備えにもなる制度で、きちんと保障を受けるためにも納付の義務があります。
なお、会社などに雇用されていると「自分は国民年金を支払っていない」と思っている方もいるかもしれません。こうしたケースにおいて、もし厚生年金に加入しているのであれば、勤務先から国民年金が納付されています。自動的に厚生年金+国民年金の保険料が支払われているため、みずから直接納めていなくても心配はいりません。
なお、この厚生年金加入者に扶養されている配偶者(20歳以上60歳未満の配偶者で年収が130万円未満であり、かつ配偶者の年収の2分の1未満の方)は、国民年金保険料を納める必要はありません。
納付の義務のある国民年金ですが、経済的理由などの事情で保険料の支払いが難しいときには、納付の免除や猶予が認められる特例があります。この特例制度を活用すると、納付する保険料を後払いによって補てんする、国民年金の追納も可能になります。
厚生労働省の調査によると、国民年金の未納の理由としてもっとも多いのは「保険料が高く、経済的に支払うのが困難(主要回答:62.4%※)」でした。しかし、なかには「うっかり忘れていた」という人もいます。
うっかり未納になりやすいのは、たとえば以下のようなケースです。
対策として、日本年金機構から届いた書類には必ず目を通し、早めに対応するようにしましょう。
前述のとおり、国民年金の免除・猶予制度を利用しないまま保険料を納付せずにいると、未納扱いとなります。なお国民年金では一定の納付期限は決まっているものの、そこから2年以内であれば、納付していなかった分を納めることが可能です。しかし2年を過ぎてしまうと、納付期限までに支払われなかった保険料は納められなくなり、国民年金の未納分が発生してしまいます。
こうした国民年金の未納分があると、次のようなデメリットが生じてしまうため、納付漏れには十分な注意が必要です。
【国民年金の未納のデメリット】
以下で詳しくみていきましょう。
年金給付のなかでも、老後の家計の支えとなる老齢年金は、保険料の受給資格期間が10年以上でないと受給できません。つまり未納期間が長ければ長いほど、老後の年金を受け取れない可能性が高くなります。
また受給資格期間10年以上の受給要件をクリアしていても、未納分に応じて受け取ることができる金額は減額されるため、老後の年金が少なくなってしまう点も大きなデメリットでしょう。
なお、国民年金保険料の免除制度を利用した期間については、保険料の追納をすれば納付した年数として換算されます(納付猶予や学生納付特例を利用する場合に限って未払い期間も受給資格の年数に含む)。
ただし、未納と同じく、追納期限までに納付しなかった分の支払いができないと、老齢年金の減額対象になってしまうので注意しましょう。
国民年金保険料の通常の納付期限を過ぎてしまうと、日本年金機構より、ハガキなどによる納付推奨がおこなわれます。一般的には「国民年金未納保険料納付勧奨通知書(催告状)」の案内が届き、「未納分があるので納めましょう」とのお知らせが来ます。
それでも支払いがされない場合には、日本年金機構より、「最終催告状」が発行されます。さらにこの「最終催告状」の指定期限までに納付がないと、次の段階として「督促状」を送付。そして「督促状」が指定した期限までに未納の国民年金保険料を納められないと、別途延滞金を支払わなければなりません。なおかつ最終段階として、財産差し押さえとなるケースもあります。
ちなみに「最終催告状」以降の流れは、日本年金機構では「強制徴収」と呼んでおり、一定の条件に該当する未納者には「確実に実施するもの」としています。現在は、控除後所得額300万円以上・滞納期間7ヵ月以上の両条件に当てはまる未納者に対し、差し押さえも含んだ強制徴収が実行されています。※3
出典:日本年金機構「日本年金機構の取り組み(国民年金保険料の強制徴収)」をもとに作成
ここまでにみてきた老齢年金に加えて、国民年金のなかには障害年金や遺族年金などの種類もあります。こうした障害年金や遺族年金においても、受給要件として、国民年金の納付状況(納付済期間など)の規定が定められています。国民年金の未納分があると、障害年金や遺族年金の対象外となってしまい、いざというときの備えができないリスクもあります。
たとえば「会社を辞めていた期間があったけれど、国民年金を支払っていた記憶がない」など、保険料の未納があるかどうか分からないケースもあるかもしれません。もし国民年金の支払い状況に不安があるときには、次のようなポイントを確認していきましょう。
先ほども出てきたように、そもそも国民年金の未納期間が少しでもあれば、将来的な老齢年金の受給額は多少なりとも減ってしまいます。将来的にしっかりと満額受け取るためには、未納分があるなら1日でも早く納付するのがベスト。納付期限から2年を過ぎてしまうと、「自分の金銭的には未納分の支払いができるのに、受付してもらえない」といった事態も起きてしまいます。
なお国民年金の納付状況は、郵送で届く「ねんきん定期便」や、日本年金機構の公式ウェブサービス「ねんきんネット」などから確認することが可能。
ちなみに「ねんきん定期便」の場合、封書版なら今までの納付状況を詳細に把握できますが、ハガキ版では「最近の月別状況」として直近の未納分しか確認できません。何年か前の納付状況をチェックしたいのであれば、「ねんきんネット」を利用しましょう。
「ねんきんネット」では、未納分のうち、後払いの追納で対応できる保険料についても確認できます。「ねんきんネット」は利用登録が必要ですが、未納期間がどれくらいなのか・年金追納ができる分はあるのか、オンラインで手軽に確認できるので便利です。
(参考)日本年金機構「ねんきんネット」
もしくは住んでいる地域の「年金事務所」や「街角の年金相談センター」、「ねんきんダイヤル(電話受付)」といった相談窓口への問い合わせでも確認できます。
前項目にもあるように、国民年金の未払い分があったとしても、追納できるケースがあります。国民年金保険料の納付免除・猶予制度を利用している場合、追納制度として、過去10年までさかのぼって後払いができます。
未納よりも、納付できるタイミングに余裕があるので、国民年金保険料の支払いに困る際には納付免除・猶予の申請をするようにしましょう。(ここまでに出てきているように、たとえば「単純に支払いを忘れていた」などの場合でも、納付期限から2年以内であれば後から納めることが可能です)。
なお、過去10年の追納ができる、国民年金保険料の納付免除・猶予制度の種類としては、おもに次のようなものがあります。
免除 | 本人だけでなく世帯主や配偶者の前年所得(1月から6月までの申請では前々年所得)について審査によって免除が認められれば、その所得に応じて全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除が決まる。 |
納付猶予 | 20歳以上50歳未満で本人や配偶者の前年所得(1月から6月までの申請では前々年所得)が一定以下の場合は、審査により納付猶予を受けることができる。※4 |
学生納付特例 | 20歳以上で特例の対象となる学校などに在籍している学生は、前年所得が一定以下の場合、申請により国民年金保険料の納付猶予を受けることができる。所得審査は本人の所得のみが対象。 |
なお、国民年金保険料の免除については、以下のような特例免除もあります。
なお上記とは別に、産前産後期間における国民年金保険料の免除制度もありますが、こちらに限っては、追納をしなくても通常どおりに納付したものと判断されます。
また国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度における追納では、この特例の承認を受けた翌年度から数えて、3年度目以降の納付になると経過期間に応じた加算料金が発生します。たとえば2023年度に追納をする場合、2020年度以前に免除や納付猶予を受けた未納分は、一定額の加算料金もあわせて支払う必要があるので注意しましょう。
このように国民年金保険料では追納ができますが、免除・納付猶予の申請をしていても、10年以上過ぎた分は期限切れとなってしまいます。知らず知らずのうちに未納となってしまわないように、いつまでに追納すべきなのか、支払い期限にも留意したうえで免除・納付猶予制度を活用するのがベストです。
追納しなかった場合、将来受け取ることができる年金額が少なくなります。どれくらい少なくなるかは、利用した免除制度や納付猶予制度によって異なります。
たとえば「全額免除」の人は、追納しない場合、その免除を受けた期間については年金額が全額納付した人の2分の1になります。昭和31年4月2日以後生まれの方だと、20歳から60歳まで40年間全額納付したときに受け取ることができる老齢基礎年金は年81万6,000円ですが、40年間ずっと全額免除(追納なし)だった人は年40万8,000円です(2024年8月現在)
「4分の3免除」だと年金額への反映は全額納付の人の8分の5、「半額免除」だと8分の6、「4分の1免除」だと8分の7になります。納付猶予や学生納付特例、もしくは免除や猶予などの手続きを取らず未納になった場合は、年金額への反映はゼロです。
たとえ国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度を活用していても、結局は年金の減額分があることに変わりはなく、追納しないほうがいいことは基本的にありません。きちんと国民年金の未納を解消すれば、具体的には次のようなメリットがあるため、期限切れにならないように追納しておくのがベストです。
前述のように、国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度を使っている場合、10年以内であれば追納できる仕組みになっています。
国民年金の免除や納付猶予は正式に認められている特例ではありますが、その期間に支払っていない分は未払い扱いとなり、老後に受け取ることができる金額は低くなります。ただし期限内に追納をして、国民年金の未払いをなくしておけば、漏れなく納付した場合と同じ老齢年金額を受給することが可能です。
国民年金を将来の重要な資金として考えるなら、できる限り追納をして未払い分は解消しておくとよいでしょう。
国民年金として納付した分は、追納した保険料も含めて、社会保険料控除の対象となります。きちんと追納をすれば、所得税・住民税が軽減される ため、年末調整や確定申告で申請するようにしましょう。
なお国民年金の追納分を申請するには、毎年送付される「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」に記載された納付額について年末調整や確定申告をします。過去の未納分の保険料を納めるなどして、実際に納付した額が控除証明書の証明欄にある「納付済額」や「見込額」以上になった場合、12月31日までに納付した保険料が、全て今年の控除対象となり、年末調整や確定申告で申告することができます。
その際には、通常の控除証明書に加えて、追納時の領収証書の添付が必要です。
ちなみに国民年金の追納をした場合、どのくらい所得税・住民税が軽減されるのか、具体的な数字でみていきましょう。たとえば「年収300万円」(所得税率10%、住民税率10%)※5で考えてみます。仮に国民年金保険料を、年間40万円追納した場合。次のような計算で控除を受けることが可能です。
(所得控除分)
40万円×(所得税率10%+住民税率10%)=8万円
(控除後の追納保険料額)
40万円-8万円=32万円
出典:日本年金機構「国民年金の追納制度」をもとに作成
このように大幅に所得税・住民税が減税できる可能性があるので、国民年金保険料の追納ができる分があれば、できるだけ早めに対処しておきましょう。
「追納したいけど全額を一気に支払うのは難しい」という人もいるでしょう。そういった事情を考慮し、追納は分割納付にも対応しています。
追納の手続き書類(国民年金保険料追納申込書※6)には、「追納申込期間 」と「分割区分 」を記入する欄があります。分割区分 は「全部一括」「1ヵ月分毎」「2ヵ月分毎」「3ヵ月分毎」「4ヵ月分毎」「6ヵ月分毎」の6種類から選択できるので、ご自身の家計の状況などを踏まえて、無理なく納付できるペースを選びましょう。
国民年金の追納のやり方としては、大きく分けて年金事務所の窓口で手続きする方法とウェブ上で手続きする方法の2つがあります。では国民年金の追納に向けた、具体的な流れをみていきましょう。
住民登録地(住民票の住所地)を管轄する年金事務所に出向き、追納の申請書を提出。その後厚生労働大臣からの承認が出たら、専用の納付書が渡されるので、基本的には現金で追納分の支払いをします※7。
日本年金機構の公式ウェブサービス「ねんきんネット」※8を活用すれば、インターネットバンキングなどの納付方法も可能です。
国民年金保険料納付書が手元になくても、ねんきんネットからインターネットバンキング等を利用してPay-easy(ペイジー)での納付ができ、ねんきんネットから国民年金の各月の納付状況を確認しながら、納め忘れた保険料や追納保険料の納付も可能です。また、ねんきんネットに表示される納付書情報(収納機関番号、納付番号、確認番号)を、金融機関等に設置されているPay-easy(ペイジー)対応のATMに入力し納付することも可能です。
国民年金を納めることは、原則として日本に住む20歳以上60歳未満の全員の義務です。支払い能力があるにもかかわらず、国民年金を未納のままにしていると、場合によっては財産の差し押さえがおこなわれてしまう可能性も。さらに未納期間が長いと、老後の年金受給資格がなくなってしまうこともあるので、未納分はすみやかに解消するのが無難です。
また国民年金では、納付が難しい場合の免除・猶予制度もありますが、制度を利用した期間分は、未納と同様、年金額が減額されてしまうデメリットもあります。たとえば20歳になったばかりの大学生や専門学生などで、国民年金の「学生納付特例」の制度を使う場合。学生期間の未払い分で将来的な老後の年金額の減額を避けるには、必ず追納が必要です。
なお国民年金の追納には、一定の期限があるので、本記事を参考に早めに手続きすることをおすすめします。
ばばえりFP事務所代表。関西学院大学商学部を卒業後、銀行の窓口業務に従事。その後、保険代理店や不動産業界などでも経験を積み、独立。自身が過去に金銭的に苦労したことから、難しいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えするべく活動中。お金にまつわる解説記事の執筆や監修を数多く手掛けている。保有資格はAFP(日本FP協会認定)、証券外務員1種など。
(掲載開始日:2024年9月12日)
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