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公開日:2023年5月16日
この記事を監修してくださったのは…
国立がん研究センター東病院
乳腺外科 科長
大西 達也 先生
国立がん研究センター東病院
看護師長/乳がん認定看護師
鈴木牧子看護師長
乳がんは、9人に1人が罹患する病気であり、女性のかかるがんの中では罹患率がもっとも高くなっています。どんな女性も、乳がんに罹患するリスクはゼロではないため、自覚症状がなくても検診を受けてしっかり予防をすることが大切です。では、乳がんの予防のためには、どのようにすればよいのでしょうか?定期検診から自己検診(セルフチェック)の方法、食生活や生活習慣まで乳がんの予防について専門家にお話をうかがいました。
女性特有のがんは、乳がんや子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんなどがあげられますが、罹患リスクを見てみると、とりわけ乳がんが高いことがわかります。以下のデータを見ると、他の女性特有のがんでは生涯で数十人に1人が罹患するのに対し、乳がんは生涯で9人に1人が罹患することがわかります。
部位 | 生涯がん 罹患リスク(%) |
何人に1人か | ||
---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 男性 | 女性 | |
乳房(女性) | - | 11.2% | - | 9人 |
子宮 | - | 3.4% | - | 29人 |
子宮頚部 | - | 1.3% | - | 76人 |
子宮体部 | - | 2.1% | - | 48人 |
卵巣 | - | 1.6% | - | 62人 |
また、乳がんは20代後半から30代にかけて罹患率が上昇しはじめて、40代後半から50代でさらに大きく上がり、60代後半で再びピークを迎える傾向があり、幅広い年齢層でかかる病気となっています。女性にとってはもはや、他人事の病気ではありません。
乳がんは、健康診断などで検査を受けるという女性も多いのではないでしょうか。日本では、人間ドックでの検査や市区町村などで提供される無料のがん検診等、さまざまな方法があります。
具体的な検査方法には「視診」や「触診」のほか、「マンモグラフィ検査」や「超音波(エコー)検査」など複数あります。とくに、マンモグラフィは乳がんの早期発見につながるといわれていますが、日本では、まだ受診率は高くないようです。
「マンモグラフィによる乳がん検診は、欧米は60~80%の受診率であるのに対し、日本では約40%といわれています(大西先生)」
欧米に比べて受診率が低い状況は、乳がん検診の情報が正しく理解されていないことも一因であるのかもしれません。「どの検診を受ければよいかわからない」と迷う方にもわかるよう、それぞれの検診方法で何がわかり、どのような違いがあるのか、具体的に見ていきましょう。
乳がんの死亡率低下に寄与するのは「マンモグラフィ検査」
乳がんの死亡率を低下させることが科学的に認められている検診方法は「マンモグラフィ検査」であり、自治体が行う対策型検診(住民検診)ではマンモグラフィ検査で2年に1度の定期受診が推奨されています。
マンモグラフィは乳房を圧迫板で薄く引き伸ばしX線撮影し、乳腺の中にできた腫瘤(しゅりゅう)(良性、悪性)や石灰化、乳腺の歪みなどを見つけることにすぐれています。
一方、超音波(エコー)検査は超音波を用いて乳房ないの病変を見つける検査で、圧迫に伴う痛みや被曝のリスクはなく腫瘤の検出にすぐれていますが、乳がんの死亡率低下に関するデータはありません。
しかし、若い女性に多いとされる高濃度乳腺ではマンモグラフィの病変の検出力が低下することが知られており、マンモグラフィ検査に超音波検査を併用することで、40代の女性の乳がんの発見率が向上することがわかっています。
乳がんへの罹患率が高まる40代では、自治体が行う対策型検診(住民検診)で40歳以上の女性に対してマンモグラフィ検査で2年に1度の定期受診をおこなうことが推奨されています。では、乳がん検診は40代になってから2年に1度定期的に行えばよいものなのでしょうか?
大西先生によれば、乳がん検診の受診間隔については日本を含めた各国で検討され、「2年に1度」の検診が推奨されている、とのこと。
「一年毎に検診することで乳がんを早期に診断できる可能性があるものの、一般的に乳がんは進行が緩やかであることが知られており、治癒率(根治性)は変わりません。一方で一年毎の検診では疑い病変が増え過剰診断※となる場合があるとされています(大西先生)。」
自治体が行なっている対策型検診(住民検診)として推奨されている検診は40才以上を対象としたマンモグラフィ検査になります。
一方でマンモグラフィの病変検出力が低下するとされる若い女性や高濃度乳腺の女性には、任意型検診を中心に超音波検査やマンモグラフィ検査と超音波検査の併用が行われています※)。
遺伝子に病的変異がある方は1年に1度の検診をおすすめする場合も
原則として2年に1度の検診を推奨していますが、家族に乳がんに罹患した人がいる場合や、遺伝子に病的変異が確認されている方は、1年に1度の検診をおすすめする場合があります。
先述した通り、乳がんの死亡率低下が科学的に認められている検診方法は「マンモグラフィ検査」ですが、検査の板と板の間に乳房を挟み、乳房を薄く伸ばして撮影するため、撮影の際に痛みを伴うことがあります。ただし、痛みには個人差があるため「ほとんど痛みを感じない」という方から「痛いから検査を受けたくない」という方までさまざま。
鈴木看護婦長によれば、「緊張により乳房が固くなってしまうことで痛みが増すため、マンモグラフィーの痛みをやわらげるためには、リラックスすることがとても大切」なのだそうです。
また、マンモグラフィ検査は乳房を圧迫板で薄く引き伸ばす必要があるため、良い画像を撮影するためには検診を受ける人(被験者)の協力が欠かせないとのこと。「当センターでは、撮影中は被験者に絶えずお声がけし、できるだけリラックスしていただけるように心がけています(鈴木看護師長)」
撮影中は出来るだけリラックスすると痛みが軽減する(写真はイメージ)
乳がんは健康診断でマンモグラフィ検査や超音波(エコー)検査などで発見する方法のほかに、日ごろから「セルフチェック」を行うことが推奨されています。自己検診(セルフチェック)とは、自分自身で胸の状態を見て、触れて変化や異変を確認すること。日ごろから習慣化しておくことにより、乳がんが進行する前に早期発見しやすくなります。
なお、自己検診(セルフチェック)をおこなう時期は以下を参考にしましょう。
自己検診(セルフチェック)をおこなう時期
しかし、「やり方がわからない」「いつから、どんな頻度でやるべき?」などと感じる方もいらっしゃるでしょう。セルフチェックの習慣を日常生活に上手に取り入れるためには、どのような方法があるのでしょうか。
上の症状に加え、気になる症状(痛みなど)があった際はそのままにせず、信頼できる専門の医師に相談しましょう。
自己検診(セルフチェック)は毎月1回を目安に
乳がんはご自身で発見できるがんのひとつといわれています。自己検診(セルフチェック)でがんを発見できることがありますので、毎月1回程度をめやすに行うとよいでしょう。
なお、ご自身でチェックするほかに、夫やパートナーとのコミュニケーションの中でがんに気付いた方もいます。ご無理のない範囲であれば、夫やパートナーの方と共にチェックをおこなうのもよいかもしれません。
大西先生によれば、「早期受診をすることによって、ステージ0、ステージ1で治療を開始された方の5年相対生存率は約99%。それだけ、早期に発見することが大切になってくる」とのことです。「5年相対生存率」とは、あるがんと診断された場合に、治療でどのくらい生命を救えるかを示す指標です。
乳がんの「ステージ(病期)」とは、がんの進行度を表す分類であり、0期〜IV期の5段階(細かくわけると8段階)で表したものです。ステージIVがもっとも乳がんが進行している状態となり、がんが乳房の中でどこまで広がっているか、リンパ節転移があるか、骨や肺など乳房から離れた臓器への転移があるかなどによって決まります。
早期発見すればするだけ、早く治療が開始できる
定期的なセルフチェックや検診が早期発見にどのくらい寄与するのかについては明確ではありませんが、早期に異常を発見することで、専門家の診察を受けることにより、早期に治療を開始することにつながります。
乳がんはご自身でみつけることが可能ながんといわれていますので、定期的に検診を受けましょう。
乳がんの早期発見のためには、自己検診(セルフチェック)や定期検診が必要となりますが、そもそも、「乳がんになりやすい人」はいるのでしょうか?また「乳がんになりやすい生活習慣」などはあるのでしょうか?
大西先生によれば「乳がんの発症には加齢のほか食生活・生活習慣・遺伝などの要素が複合的に影響している」のとことです。では具体的に、「加齢」「食生活・生活習慣」「遺伝」とはどのようなことを指すのでしょうか?具体的にそれぞれみていきましょう。
冒頭でご紹介したグラフが示すように、乳がんは年齢が上がるほど罹患率が高まる傾向にあります。具体的には、20代後半から30代に罹患率は高まり、45歳~49歳で1回目のピークを迎え、さらに65歳~69歳で2回目のピークを迎えるという傾向があります。
他のがん種と同様に、肥満やアルコール・喫煙などは乳がんの発症リスクを高めるとされています。また、食生活や運動などの生活習慣によっても乳がんのリスクが高まると考えられています。予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスの良い食事、身体活動、適正な体形であることなどが効果的といわれています。
乳がんの患者さんの全体の7%~10%程度は、両親から引き継がれた遺伝子が発症に関係しているといわれています。大「有名なのは、2013年に乳がんや卵巣がんに関連する遺伝子の異常を保有していると公表したアンジェリーナ・ジョリーさんです。この方はがんを発症はしていなかったのですが、発がんのリスクのある両側の乳房と卵巣を予防的に切除されました(大西先生)」
出産経験の有無や授乳経験、初経年齢・閉経年齢の違いも、乳がんの発症率に関係することがあり,世界中で非常に多くの研究が進められています。具体的に乳がんの発症リスクが高い人について以下にまとめましたので参考にしてみてください(以下に当てはまる場合でも、乳がんにならないということではありません)。
乳がんの発症リスクが高い人とは?
など
女性にとって身近な疾患である、乳がん。しかし、日ごろから自己検診(セルフチェック)を行い、定期的な検査を受診することが、早期発見に大きく寄与します。大西先生によれば、「早期受診をすることによって、ステージ0、ステージ1で治療を開始された場合の5年生存率は約99%。それだけ、早期に発見することが大切」とのこと。
乳がんは仕事、子育てなどに忙しい40代の方も罹患するリスクが高い病気です。本人はもちろん、家族や職場など周囲にまで及ぼす影響は甚大となります。また、閉経後も安心できるわけではなく、60代の女性の乳がんも高い罹患率となっています。ぜひ、月に一度の自己検診(セルフチェック)、年に2回の乳がん検診、食生活や生活習慣の改善によって、乳がんの早期発見や予防を心がけていきましょう。
あわせて、食生活や生活習慣に気を付けることによって、乳がんを未然に防ぐことができることもわかっています。まだ一度もマンモグラフィ検査や超音波検査を受けたことのない方、検査をしたほうがよいとは思うもののためらっている方は、ぜひ一度、医療機関で受診してみてはいかがでしょうか。
乳がん検診での痛みは個人差があるため、遠慮なく撮影技師に相談を
乳がん検診を行い、しこりを見つけた際は「がんだったらどうしよう」など、不安に感じると思います。また、「マンモグラフィ検査は痛いので受けたくない」と思う方も少なくありません。マンモグラフィは検査の板と板の間に乳房を挟み、乳房を薄く伸ばして撮影するため、撮影の際に痛みを伴うことがありますが、痛みには個人差がありますので、遠慮なく撮影技師にお伝えいただくとよいでしょう。
検診により早期発見をすることで、乳がんによる死亡率を減少させることができるといわれています。現在、乳がんは女性のがん罹患率の1位であり、女性の9人に1人が乳がんに罹患すると言われています。ご自身の体を守るために乳がん検診をぜひ行いましょう。
「乳がん検診に関する意識調査」のため、以下のアンケートへご協力をお願いいたします。
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