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冬と春は火災に注意!住宅の火事はなぜ起こる?原因と火災を防ぐ5つのポイントを解説

冬と春は火災に注意!住宅の火事はなぜ起こる?原因と火災を防ぐ5つのポイントを解説

公開日:2023年6月29日

空気の乾燥や暖房機器の使用などによって、冬から春にかけては火災発生の可能性が高まります。とくにタバコをたしなむ方、冬から春にかけてストーブやこんろを頻繁に使う方は要注意です。自宅と生活を守るためにも、火事の原因や予防法を知り対策を講じましょう。この記事では、火災の原因や注意事項とあわせて、火災を防ぐためのチェックポイントを紹介します。

冬だけでなく春も火災の危険が高い!

火災といえば空気の乾燥する冬季に多く発生するイメージがあります。しかし、冬季と同じくらいに春季も火災が多く発生していることをご存知でしょうか?

消防庁の「令和4年版 消防白書」によると、2021年の建物火災における四季別出火件数は冬季(12月~2月)が1万828件だったのに対し、春季(3月~5月)は9,814件でした。

四季別出火状況

出典:令和4年版 消防白書|消防庁
https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/r4/items/r4_all.pdf

また、総務省の報道資料(2022年10月28日発表「令和3年(1~12月)における火災の状況(確定値)」)では、建物火災のうち、53.5%は住宅火災となっています。

春に火災が多い原因は?

火災の発生には湿度だけでなく風の強弱も関係しています。春は大陸から乾いた空気が入り、さらに気温の上昇によって湿度が低下します。そのうえ強い南風が吹くため、全国的に火災が起きやすい状態になるのです。

出火原因の上位は「たばこ」「たき火」「こんろ」

住宅火災の主な原因は次の通りです。

主な出火原因の出火件数

出典:令和4年版 消防白書|消防庁
https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/r4/items/r4_all.pdf

住宅火災の出火原因でもっとも多いのがたばこで、たき火、こんろと続きます。そのほか、放火や電気機器・配線からの出火、ストーブなどでも火災が発生しています。

出火原因別にみる出火状況

出火原因をみると、放火を除きこんろや電気機器、ストーブなど身近なものが原因で火災が発生していることがわかります。どのような状況で火災が発生しているのか、原因別にみていきましょう。

たばこ

たばこを原因とする火災は、たばこの不適当な場所への放置や、たばこが落下してしまった、火源が接触してしまったなどの状況で発生しています。

たとえば、火が完全に消えていないたばこの吸い殻をビニール袋に入れてごみ箱に捨ててしまったり、ベランダに吸い殻を放置して周囲のものに火がうつったりするなどして火事が起こっています。寝たばこによる出火も考えられます。

たばこによる火事を防ぐために、たばこの火は水に濡らして完全に消化してから吸い殻を捨てる、寝たばこはしないなど日頃からの注意が必要です。

たき火

たき火では、火の不始末や風の影響で周囲に火が燃え移るなどして火災が発生しています。消火後に灰を段ボールに移し替えたところ出火したケースもあり、たき火を行う場合は十分に注意しましょう。

たき火をしている間は、常に火の監視をしてその場を離れないようにします。消火の際は十分に水をかけて、灰の中に火種が残らないようにしてください。風の強い日や空気が乾燥している日にはたき火をしないという判断も重要です。

こんろ

こんろを原因とした火事では、天ぷら油を熱したままその場を離れて出火したり、こんろで調理しているのを忘れて出火したりするケースがあります。

こんろからの出火を防ぐために、調理中はこんろから離れない、こんろから離れる場合は必ず火を消すなど、火災防止の基本を徹底しましょう。

電気機器と配線

電子レンジや洗濯機、ヘアドライヤーなど日常的に使用する電化製品から出火することがあります。また、ブレーカーや電源タップ、電気コードなどからも出火します。

たとえば、電子レンジで食品を温めていて発火した、アロマオイルの付いたタオルを乾燥させて発火した、ヘアドライヤーのコードがねじれて火花が発生したなどの事例があります。電化製品からの出火を防ぐために、定期的に手入れを行い、使用方法は必ず守るようにしましょう。

ブレーカーでは、ネジのゆるみが原因で出火した事例も過去にあるようです。電源タップや電源コードではほこりがたまることで出火します。これらも定期的に点検や手入れを行い、火事を防ぎましょう。

ストーブ

冬から春にかけては、ストーブによる火事にも注意が必要です。灯油やガスなどを使用しない、比較的安全に思われがちな電気ストーブによる火事も多く発生しています。

電気ストーブをつけたまま就寝して、布団が電気ストーブに接触して出火する事例も過去にありました。就寝時は、ぼやでも着ている服への着火や一酸化炭素中毒により亡くなるケースもあります。

電気ストーブを使用する場合は、外出時・就寝時には必ず電源を消し、使用時も燃えやすいものを近くに置かない、ストーブのうえに洗濯物を干さないなどの注意が必要です。

放火・火遊び

住宅火災の原因に放火や火遊びもあります。放火を事前に防ぐのは難しいこともありますが、防犯意識を持つことで放火を防げる可能性があります。

日頃から住宅の周りを整理整頓して燃えやすいものを置かない、物置や車庫は必ず鍵をかけるなど放火対策を行いましょう。万が一に備えて、消化器や火災警報器も設置しておきましょう。

総務省の報道資料(2022年10月28日発表「令和3年(1~12月)における火災の状況(確定値)」によると、火遊びによる火災は、年間約300件ほど発生しているので、注意が必要です。ライターやマッチを子どもの目に触れる場所・手に届く場所に置かない、子どもだけを残して外出しないなど対策を取りましょう。火災の恐ろしさや火遊びの危険性を日頃から教えておくことも大切です。

火災を防ぐチェックポイント!

火災を防ぐために、日常的に使用するものを見直してみましょう。ここからは、火災を防ぐための5つのチェックポイントを紹介します。

1. こんろの使用状況とこんろ周辺をチェック

火をつけたままこんろのそばを離れ、鍋を焦がしてしまったことはありませんか?近年販売されているこんろでは、一定以上の温度に達したときや一定時間火がついたままになっているときには自動で消火される安全装置が搭載されています。安全装置のないこんろを使用されている場合は、新しい製品への買い換えを検討しましょう。

こんろ周辺に調味料や調理油、その他調理器具を置いている方は、火が燃え移る可能性があるため設置場所の見直しを行ってください。ご家族に子どもや高齢者がいる場合は、火を使わないIHクッキングヒーターへの切り替えも検討しましょう。

こんろの使用状況とこんろ周辺をチェック

2. コンセントの使用状況の確認と手入れ

テレビや冷蔵庫、洗濯機など、大型の電化製品に使用しているコンセントは長期間放置されがちです。電源コードを挿しっぱなしにしていると、隙間にたまったほこりから発火してしまうことがあります。

定期的にコンセント部分を確認して、ほこりをためないよう手入れを行いましょう。また、いわゆるたこ足配線も出火の原因になり得ます。たこ足配線でコンセントを増設している方は、コンセントを増やしすぎないようにし、定期的にお手入れをしましょう。

小山FP 小山FP

小山FPからのアドバイス!

差しっぱなしにしたコンセントと電源プラグに間にほこりがたまり、そこにさらに湿気が加わることで、やがてそこから放電を起こし発火が生じることをトラッキング現象と呼びます。
トラッキング現象を防ぐためには記事にあるようにお掃除などでのお手入れも有効ですが、コンセントなども消耗品ですので新品への取り替えや、トラッキング防止用のコンセントやプラグカバーなどもありますので、それらの利用を検討するのも良いと思います。

タコ足配線、プラグのほこりには要注意!

タコ足配線、プラグのほこりには要注意!

3. カーテン、じゅうたん、寝具をチェック

カーテンやじゅうたん、寝具は、火災の際に火が燃え移り被害を大きくする可能性があります。このような可能性のある製品は防炎タイプへの切り替えを検討しましょう。

防炎製品にすることで、火が付きづらくなるだけでなく、着火した場合も燃え広がりを防げます。

小山FP 小山FP

小山FPからのアドバイス!

消防庁が発表している令和4年版消防白書によれば、住宅火災の着火物別死者数では寝具類が11.0%と着火物が不明なケースを除き、もっとも多くなっています。また時間帯別住宅火災の死者発生状況を見ても、0時から6時までの時間帯平均が全時間帯平均の1.3倍となっていることから、就寝時による火災で犠牲となることがいかに多いかがわかります。

消防法で規定されているような百貨店や旅館、病院などの施設で使用が義務付けられている防炎物品(カーテンやじゅうたんなど)と違い、防災性能を有する防炎製品の住まいでの利用は義務付けられてはいません。

ただ、就寝時には火災に気づくのが遅れがちになることから、寝具類などの購入の際には防炎製品を検討するのも良いでしょう。

4. ストーブの確認と手入れ

ストーブの使用前には、必ずほこりや汚れがたまっていないか確認し、手入れを行います。また、周囲に洗濯物や燃えやすいものを置かないように注意しましょう。ストーブから離れるとき、外出するときには忘れず消火します。

ストーブをつけたまま子どもを自宅において外出すると、おもちゃなどに火が燃え移る可能性も考えられます。必ずストーブを消す、子どもだけを自宅に残さないなどの対策が必要です。

ストーブの確認と手入れ

5. 住宅用火災警報器の設置と点検

住宅用火災警報器の設置は、法律及び条令で定められているものです。寝室、階段など各市町村で定められている場所に正しく住宅用火災警報器が設置されているか、あらためて確認してみましょう。また、設置されている住宅用火災警報器が使用できるのか、定期的に点検する必要があります。

電池式の住宅用火災警報器を使用されている場合、交換の目安は約10年といわれています。使用できない状態となっている場合は交換しましょう。

小山FP 小山FP

小山FPからのアドバイス!

令和4年版消防白書によれば住宅火災では放火自殺者などを除き、火災により亡くられた人の発生状況を見ると「逃げ遅れ」が全体の約半数とっています。いかに早く火災発生に気づくことが大事なことかわかります。

住宅用火災警報器は、基本的には寝室と寝室がある階の階段上部(1階の階段は除く)に設置することが必要とされています。逃げ遅れる人が多いことからも、設置場所が寝室とされている理由にもうなずけます。

また、消防庁が平成30年から令和2年までの3年間における住宅火災について、住宅用火災警報器の設置効果を分析したところ、警報器が設置されている場合、そうでない場合に比べ、死者数と焼損床面積はいずれも半減となっているようです。

現在、住宅用火災警報器の設置は義務とされていますが、実際に設置をしていなくても罰則はありません。しかし、大切な家族や自身の安全のためにも設置をするようにしましょう。

火災警報器の設置と定期的な点検が大切

火災警報器の設置と定期的な点検が大切

火災保険も確認しよう

火災防止対策とあわせて、火災保険もあらためて確認してみましょう。いくら火災防止につとめていても、予期せぬもらい火で火災が発生してしまうこともあります。たとえば隣家からのもらい火で自宅に損害が起きた場合、火災の原因となった隣家に重大な過失がない限り賠償してもらえません。これは法律によって定められているものです。

もらい火で損害を受けた場合でも、自身の火災保険から補償してもらうことになります。このような事態に備えるためにも、火災保険に加入しているか、加入している場合は現状にマッチしているのかを定期的に確認しておくことは重要です。

ここからは、持ち家と賃貸住宅それぞれの火災保険のチェックポイントを紹介します。

持ち家の火災保険に必要な補償

戸建て住宅、分譲マンションなど持ち家にお住まいの場合、建物部分と家財部分の両方またはどちらか一方を火災保険の補償範囲にできます。

持ち家の場合、建物部分と家財部分の両方に加入するのが一般的です。自宅および財産への補償はどうなっているのか、現在加入されている火災保険の補償範囲を確認してください。建物と家財のどちらかにしか加入されていない場合、補償を十分に受けられない可能性があります。たとえば、建物部分のみの加入で家財部分に加入されていない場合、焼失した家電製品や家具に対する保険金は支払われません。

■建物と家財に該当するものの一般的な例

建物+家財の両方に加入でトータルにカバー

戸建て住宅の火災保険では、建物部分に加入することで、住宅そのものに加え門や塀、車庫も補償の範囲に含まれるのが一般的です。分譲マンションでは、建物部分に加入することで室内の壁などの専有部分の損害が補償されるようになります。

賃貸住宅の火災保険に必要な補償

賃貸住宅の場合、自身の持ち物だけでなく、借りている住宅や隣家などに損害が発生する可能性があります。

賃貸住宅を契約する際には、「原状回復義務」に関する条項が盛り込まれていることが一般的です。これは「借主は借りたときと同じ状態で部屋を返さなければならない」という義務です。

故意でない火災などが原因であっても、借りている住まいに損害が発生した場合にはそれを元どおりにする必要があります。借主にそれができるだけの資力がない場合に備え、大家さんや不動産業者から「借家人賠償責任保険」への加入検討をすすめられるケースが多いようです。そのため賃貸住宅では、自身の財産である家財を対象にした火災保険だけでなく、借家人賠償責任保険、個人賠償責任保険の3つの保険に加入するのが一般的です。

借家人賠償責任保険とは

借家人賠償責任保険とは、大家や管理会社など貸主への法律上の損害賠償責任を負ったときの損失を補償する保険です。

たとえば、ストーブやこんろの使い方を誤って火事を起こしてしまい、壁紙や床、天井などが燃えてしまったとき、その損害分に対する賠償金などを補償します。火災だけでなく、蛇口の閉め忘れや家電からの水漏れを原因とする水濡れによる損害も補償の対象です。

個人賠償責任保険とは

個人賠償責任保険は、他人に対して法律上の損害賠償責任を負ったときの損失を補償する保険です。さまざまなケースで補償される保険で、たとえば火災の場合には同じ物件に住む隣人などが火災を原因でケガや火傷を負ってしまった、家電が壊れてしまったときなどに、その損害分に対する賠償金などを補償します。

個人賠償責任保険は、子どもが隣人にケガをさせてしまった、誤って他人のものを壊してしまったなどの場合にも補償されます。個人賠償責任保険は、自身だけでなく同居のご家族も補償の対象となる保険会社が多いです。

3つの保険に加入しておくことで、火災が起きた際にはご自身の家財への補償に加え、貸主への賠償、隣人などへの賠償にも備えられます。

小山FP 小山FP

小山FPからのアドバイス!

持ち家の火災保険の保険金額は「再調達価額」をもとに決めることが多いです。再調達価額とは保険契約の対象と同等のものを新たに新築・購入・取得するのに必要な金額のことです。それにより火災で被害にあう前と同等の生活に早期に戻ることができる可能性が高まるわけですが、一方で、補償を手厚くすれば火災保険料は高くなりがちです。

万が一のときでも今と同等のものをすべて新たにそろえなおす必要があるのかもしっかり検討して保険に加入しましょう。

いずれにせよ、保険は自らの預金などの備えからだけではまかないきれない大きな経済的損失のあるリスクに備えるためのものです。その保険の目的に照らし合わせれば、火災のような被害が大きくなる可能性のあるリスクに対して保険で備えるのは大切なことです。

万が一火災が発生したときに備えて、住宅だけでなく財産や他人への損害賠償に対する保険への加入も大切です。火災保険や火災を原因とするさまざまな損害を補償する保険に加入できているか、あらためて確認してみましょう。

まとめ

火災はたばこやこんろ、ストーブなど、身近なものを原因として発生することがあります。火災の発生しやすい時期にはたき火をしない、たばこの吸い殻には注意する、ストーブやこんろは使用しないとき、その場を離れるときには必ず消すなど、日頃から火災を防ぐ意識を持ちましょう。

また、万が一に備えてこんろを買い換える、可燃性の製品は防炎製品にする、火災保険を定期的に確認し見直すことも大切です。ご自身やご家族を守るために、今一度自宅の状況や火災保険をチェックしてみましょう。

監修者情報

小山 英斗(こやま ひでと)

監修者

小山 英斗(こやまひでと)

未来が見えるね研究所 代表 https://miraiken.amebaownd.com/

CFP®(日本FP協会認定会員)、1級FP技能士(資産設計提案業務)

住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター(一般社団法人 住宅建築コーディネーター協会認定会員)

日本学生支援機構認定スカラシップ・アドバイザー(平成29年10月認定)

神奈川県の横浜を主な活動拠点としてFP事業を中心に、ライフプランニング、金融資産運用、不動産・住宅ローン相談、住宅建築相談、保険相談を強みとしたサービスを提供しています。銀行や保険等の金融機関やハウスメーカー等に属さない独立した立場からのお手伝いをしています。座右の銘は「虚静恬淡」。好きなものは旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ。

  • CFP®、CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®、およびサーティファイド ファイナンシャル プランナー®は、米国外においてはFinancial Planning Standards Board Ltd.(FPSB)の登録商標で、FPSBとのライセンス契約の下に、日本国内においてはNPO法人日本FP協会が商標の使用を認めています。

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